（2024年5月28日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり）

欧州委員会は、EU国家援助(（State aid）規則に基づき、医療製品の研究、イノベーション、初期の産業展開、および医薬品の革新的な生産プロセスの支援を目的とする、初めての「欧州共通利益重要プロジェクト（IPCEI）」を承認した。このプロジェクトは、十分な予防法や治療法がない疾患に対処するためのイノベーションを実現し、新たな保健上の脅威に対するEUの備えを強化することで、欧州保健連合の目標に大きく貢献する。

”IPCEI Med4Cure”と呼ばれる本プロジェクトは、ベルギー、フランス、ハンガリー、イタリア、スロバキア、スペインの加盟6か国により共同で発表された。

加盟国は最大10億ユーロの公的資金を提供し、これによりさらに59億ユーロの民間投資が創出されると期待されている。この一環として、1か国以上の加盟国で活動する（中小企業9社を含む）13社が、14件の非常に革新的なプロジェクトに取り組む。

IPCEI Med4Cureは、細胞、組織、その他のサンプルの収集・研究から、個別化治療を含む画期的な治療法の持続可能な生産技術、そして高度なデジタル技術の応用まで、医薬品バリューチェーンのすべての主要ステップを網羅する研究開発プロジェクトに取り組む。

本プロジェクトは、特に希少疾患などの有効な治療方法がない医療ニーズに対する新薬の発見を促進し、革新的でより持続可能な医薬品製造プロセスを開発することにより、医療の進歩を加速し、EUの医療産業の強靭性を高めることを目的としている。これらの進展により、医療の質が向上し、新たな健康上の脅威に対するEUの備えが強化されるとともに、グリーン移行にも貢献する。

IPCEIプロジェクトの完了は2036年の予定だが、タイムラインは個々のプロジェクトや関与する企業によって異なる。参加加盟国によれば、約6,000件の直接的および間接的な雇用創出が期待される。

[DW編集局]