[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2024/05/28
抄訳記事公開日:
2024/07/03

第4次「欧州共通利益重要プロジェクト」に対する最大14億ユーロの国家援助承認

Commission approves up to €1.4 billion of State aid by seven Member States for the fourth Important Project of Common European Interest in the hydrogen value chain

本文:

(2024年5月28日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり)

欧州委員会は、EU国家援助(State aid)規則に基づき、水素バリューチェーンにおける研究、イノベーション、初期の産業展開の支援を目的とする第4次「欧州共通利益重要プロジェクト(IPCEI)」を承認した。このプロジェクトは、EUを2050年までに気候中立にするため、モビリティおよび輸送セクターからの排出量を90%削減するというEU目標に貢献する。水素を燃料としての利用の促進を図ることで、欧州グリーンディール、EU水素戦略、持続可能でスマートなモビリティ戦略の目標達成にも貢献する。

”IPCEI Hy2Move”と呼ばれるこのプロジェクトは、エストニア、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スロバキア、スペインの加盟7か国によって共同で準備され、発表された。

加盟国は最大14億ユーロの公的資金を提供し、これによりさらに33億ユーロの民間投資が創出されると期待されている。この一環として、加盟1か国以上で活動する(中小企業や新興企業を含む)11の企業が、13件の革新的なプロジェクトに取り組む。

IPCEI Hy2Moveは、次のような一連の技術イノベーションの開発を支援することで、水素技術バリューチェーンの幅広い領域をカバーする。
・輸送手段(道路、海上、航空)に水素技術を統合するモビリティおよび輸送アプリケーションの開発。バスやトラックで使用される燃料電池車両プラットフォームが含まれる。
・水素を利用して船舶や機関車を動かすのに十分な電力を生成する高性能燃料電池技術の開発。
・次世代のオンボード・水素貯蔵ソリューションの開発。航空機で使用するには、飛行中の安全性と効率性を確保するために、軽量で堅牢な水素タンクが必要である。
・モビリティおよび輸送用途向けの水素を製造する技術の開発。加圧された純度99.99%の燃料電池グレードの水素を水素補給ステーションにオンサイトで供給するための技術の開発。

IPCEI Hy2Moveは、水素バリューチェーンに関する当初3件のIPCEIプロジェクトを補完するものである。欧州委員会は、2022年7月15日にエンドユーザ向けの水素技術開発に焦点を当てたIPCEI ”Hy2Tech”を承認した。2022年9月21日にIPCEI ”Hy2Use”が承認され、これは産業セクターにおける水素の応用に重点を置いた。2024年2月15日に欧州委員会はIPCEI ”Hy2Infra”を承認した。これは、最初の2件のIPCEIではカバーされていないインフラ投資に関与する。今回のHy2Moveは、専らモビリティと輸送アプリケーションにおける水素技術で生じる特定の課題と目標に焦点を当てている。

IPCEIの完了は2031年までに予定されているが、タイムラインは個々のプロジェクトや関係する企業によって異なる。

[DW編集局]