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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 英国研究・イノベーション機構(UKRI)
- 元記事公開日:
- 2024/06/27
- 抄訳記事公開日:
- 2024/07/26
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研究を代理で行う研究者が科学を前進させる
- 本文:
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(2024年6月27日付、英国研究・イノベーション機構(UKRI)の標記記事の概要は以下のとおり)
仕事を中断して産休を取る時は、さまざまな感情が湧きおこる。人によっては、キャリアアップに対する懸念や、プロジェクトが存続できるかどうかの不安などが含まれる。ほとんどの場合、育児休暇の期間はプロジェクトの完全な停止を伴う。交替要員やその費用の捻出は非常に困難になる。
契約期間が短く、しばしば延長できない学術研究者にとっては、科学のペースの速さや論文発表のプレッシャーも加わる。このため、キャリアのニーズと、新しく親になることの喜びや苦しみに集中したいという願望とのバランスを取ることが不可能なことのように感じられる。
これに対処するため、研究室を離れることによる影響の軽減に役立つ制度が考案された。目標は、医学研究会議(MRC)医学研究所(LMS)の職員が取得する必要がある、あらゆる種類の長期休暇をカバーすることにある。
MRC LMSでの長期休暇申請の大部分は産休であったため、最も大きな影響は産休を取る人々にあることはわかっていた。母親が出産のために休暇を取る必要があることは、学術界における男女格差の主因として認識されている。ポスドクが科学分野の労働力のおよそ半分を占める一方で、世界中の研究では、終身在職権を持つ教授のうち女性はわずか約25%に過ぎないと常に報告されている。
◼ 代理研究者制度(Roving researcher scheme)
これらの要因が、MRC LMSで最初の「代理研究者制度」開始する動機となった。これは2020年4月にバブラハム研究所で初めて導入された。この制度は、3か月以上の休暇期間中に研究の重要な側面を継続できるように、代理として研究者がパートタイマーとして研究をカバーする。同時に、代理研究者は、長期にわたり試験的なポジションで、多様なプロジェクト、技術、分野にわたって研究するユニークなタスクを担う。彼らのポジションでは、多くの人々を支援することも可能である。
移動研究者に求められる資質の多くは、「標準的な」ポスドク職の応募者に求める資質と似ている。しかし、カバー期間の終了時にプロジェクトを手放し、複数のポスドクの要求を管理し、職務を非常に迅速に切り替える必要がある。
代理研究者を依頼するには、休暇取得者が簡単なフォームに必要事項を記入し、監督委員会に送信する。監督委員会は申請書を審査し、プロジェクト間で時間を最も効果的に配分する方法について代理研究者と協議する。その後代理研究者は、新規プロジェクトに慣れるために、通常2週間の集中トレーニング期間を休暇予定の研究者とともに過ごす。多くの場合、代理研究者は一度に2件のプロジェクトを担当するが、場合によっては3件のプロジェクトを担当することもある。
この制度は2年間の試験運用として開始された。しかし、最初の1年で、移動研究員の役割が非常に良い効果を与えていることが明らかになり、この制度は恒久的なものになった。
[DW編集局]