[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2024/07/10
抄訳記事公開日:
2024/08/08

アリアン、宇宙における欧州の自立性を支える原動力

Ariane, moteur de l’autonomie spatiale européenne

本文:

(2024年7月10日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は以下のとおり)

新型ロケット「アリアン6」は、2024年7月9日に初飛行に成功した。欧州のロケット「アリアン」は、わずか40年余りの間に宇宙産業の重要なプレーヤーとしての地位を確立した。

■欧州の成功を物語るアリアン

アリアンの歴史は、宇宙輸送の分野における欧州の戦略的自立をもたらす成功で刻まれている。この計画はもともと1960年代、国立宇宙研究センター(CNES)のディアマント発射装置の開発経験に基づく。その後1973年に、欧州10カ国が参加して設立された欧州宇宙機関(ESA)が新しいロケットを製造することになった。

これにより約1トンの静止衛星を軌道に乗せることができる最初の3段式ロケットである「アリアン1」が誕生し、1979年12月24日にフランス領ギアナのクールー宇宙基地から初めての打上げが行われた。「アリアン3」では固体および液体ブースターの追加、「アリアン4」ではフェアリングの容積の増加等、継続的な技術的改良がなされた。

1982年には商業打上げ市場に参入し、国際的な成功を収めた。6年後の1988年に「アリアン4」が初めて打ち上げられ、市場の需要に柔軟に対応するため6つのバージョンが提供された。1988年から2003年の間に「アリアン4」は100回以上打上げられ、数年の間に世界の商業衛星打ち上げ市場の60%を獲得した。

1996年、衛星の重量増加に対応するために開発された「アリアン5」は、静止軌道で10トン、地球低軌道で最大21トンと、従来の2倍のペイロード容量を実現した。激しい国際的な競争の中で「アリアン5」は商業衛星打ち上げ市場における優位性を確保した。「アリアン5」は非常に高い信頼性を確保し、あらゆる状況で欧州の自立した宇宙へのアクセスを保証し、静止軌道への衛星2機の同時打上げに必要な競争力のあるロケットを欧州に提供することを目指している。

こうして27年間にわたる119回の打上げという並外れた実績を経て、アリアンは世界で最も信頼性のあるロケットとしての地位を確立し、その誕生以来、欧州の科学、技術、産業の卓越性の象徴となった。

アリアンはその誕生以来、ハレー彗星の上空を飛行した欧州の探査機「ジオット」に始まり、水星探査ミッション「ベピ・コロンボ」に至るまで、様々な科学ミッション衛星を打上げるとともに、欧州の輸送機ATVによる国際宇宙ステーションへの補給ミッションにも対応している。

■欧州の新しい重量級のロケット、アリアン6

モジュール式で汎用性の高い「アリアン6」は、再点火可能な上段を備え、1度の打ち上げで、複数のミッションを持つ各衛星を異なる軌道に打ち上げることができる。例えば、衛星コンステレーション、科学衛星、ガリレオ測位衛星、地球観測衛星等を、低軌道または中軌道に打ち上げ、その一方で1機の衛星を静止軌道に乗せることができる。

CNESとESAのチームによって設計され、アリアン・グループが開発したこの新しいロケットは、アリアン62と同64の2つのバージョンを持ち、上段の再点火が可能で、製造コストが抑えられたため、政府および商業衛星の打ち上げに適している。

■すでに始まっている未来

「アリアン6」の運用開始に際し、欧州は宇宙輸送の未来のため運用コストと環境への影響のさらなる削減を図っており、欧州製プロメテウスエンジンを搭載する再使用型発射装置「テミス」の原型機などの実証機を開発中である。

2023年のセビリア宇宙サミットにおいて、ESA加盟国は、欧州の民間企業間の競争に基づく新しい経済・産業モデルを支援することで、最も競争力のあるロケットを開発するため、宇宙への欧州のコミットメントを新たにした。

[DW編集局]