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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- マックスプランク協会(MPG)
- 元記事公開日:
- 2024/08/01
- 抄訳記事公開日:
- 2024/09/03
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国民病の簡単な診断が可能に
- 本文:
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(2024年8月1日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)
国民病といわれる病気の中には、以前より簡単かつ迅速に診断が可能なものがある。マックスプランク量子光学研究所やその他のチームが、血漿の赤外線測定と機械学習を活用して、2型糖尿病や高血圧などの様々な代謝障害の検出を実証した。これまで様々な疾患の検出には別々の検査が必要だったが、この方法では1回の測定で十分かつ1滴の血液と数分で済むため、この方法により病気の早期発見など集団的かつ包括的な健康診断が可能となる。
マックスプランク量子光学研究所とミュンヘン大学の研究グループを率いているジグマン(Mihaela Zigman)氏のチームは、様々な疾患に伴う血漿の生化学的変化を赤外光で測定する検出方法を開発した。病気に典型的な分子、いわゆるバイオマーカーが、血漿の赤外線スペクトルを特徴的な方法で変化させることに依存している。人の健康状態の変化を特定できるようにするために、機械学習アルゴリズムを訓練して、赤外線分子フィンガープリントでの認識を可能とした。
高精度の診断:マックスプランク量子光学研究所他のチームの研究によれば、2型糖尿病と血中脂質レベルの上昇は、赤外線分子フィンガープリントを使用して、約95%の精度で特定でき、メタボリック・シンドロームは、ほぼ90%の確率で認識できた。高血圧と糖尿病前症では、感度は75%と良好であった。メタボリック・シンドロームの発症予測については、アルゴリズムをトレーニングした結果、77%のヒット率で成功した。
健康体の赤外線分子フィンガープリント:単一の赤外線測定に基づいて、アルゴリズムは、検査対象の病気にかかっていないかどうか、つまり健康であるか否かも検出できる、とジグマン氏は述べた。彼女が率いるチームは、肺がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がんを、従来の診断と同じくらいの正確さで検出できるだけでなく、より簡単かつ費用対効果の高い方法で検出できることもすでに示している。
ジグマン氏は次のように述べた:「赤外線フィンガープリントを利用して多くの患者の診断を大幅に簡素化できると確信している。医学界では、包括的なスクリーニングにおける簡単な診断に大きな関心が寄せられているので、この方法はヘルスケアの分野での然るべき地位を確立する必要がある。」
[DW編集局]