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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国家科学技術会議(NSTC)
- 元記事公開日:
- 2024/08/12
- 抄訳記事公開日:
- 2024/09/06
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NSTC小委員会レポート:量子情報科学技術における国際協力の推進
- 本文:
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(2024年8月12日付け国家科学技術会議(NSTC)報告の概要以下のとおり)
本報告書は、2018年に発表した「量子情報科学に関する国家戦略概要」を補足するものであり、国家戦略概要の政策の柱である国際協力の相互利益を促進し実現するための追加の政策勧告が含まれている。
量子情報科学技術(QIST)は、情報の収集・処理・伝送の方法に革新をもたらす可能性のある重要な新興分野であり、バイデン政権の優先事項となっている。QISTには多くの潜在的な社会的利益があり、過去10年間、多くの国や地域がQIST事業強化に向けた集中的な取り組みを開始してきた。これら取り組みの進展により、QISTへの世界的参加が拡大し、国際協力の重要性が高まっている。米国は何十年にもわたってQISTに係る国際協力を支援してきたが、国際的な関与を活用し、米国のQIST優先事項を前進させるために、より有利な立場に立つためのアプローチを調整・強化する機会が存在する。相互利益をもたらし、科学的探究、共通の価値観、経済的約束に基づく相互交流への国際的な取り組みに引続き集中すべきである。
これにより、イノベーションが加速し、サプライチェーン・市場への強固なアクセスが促進され、国際社会におけるQIST関連の原則、政策、効果的な実践の発展がもたらされる。特に、実務家間の国際協力は効果的であり、共通利益や協力関係を見極めるためのバックボーンとして機能する。
本分野の専門家は、科学ワークショップや科学者・専門家の流動性など既存のメカニズムによって、機会を特定し、行動するのに最適な立場にある。こうした国際協力の伝統に立脚し、優先事項の検討、追加メカニズムの活用、共同研究プロジェクトの確立、発見を促進する新しいアプローチの試験的実施、必要に応じた協力の具体化を行う機会があり、これらは全て発見・イノベーションを促進する。
現在、効果的な国際協力の発展を複雑化する課題として、技術的能力、科学的・戦略的優先事項、資金調達システム等の多様なトピックに関する海外パートナーとのミスマッチ等がある。また、米国では国際的な協力要請が増加しており、効果的な調整や優先順位付けを行っていかないと、進行中の取り組みへの集中が阻害される可能性がある。
本報告書は、これら主要課題と関連するギャップを特定し、米国が幅広い国際的パートナーとの間で有益かつ機敏な協力関係を育む体制を整え、QISTの基盤的知識、イノベーション、可能性を前進させる、以下の行動を推奨している。
1. 米政府は、QISTに係る国際的な協力・協働への資金提供に特化した長期的メカニズムを創設すべき。
2. 各省庁は、QISTへの国際的取組に係る米国政府全体の統合ポートフォリオを強化するため、国際協力の実践に関する省庁間調整を強化すべき。
3. 米政府は、QISTとその実現のための技術における国際競争力の指標を確立し、モニターすべき。これら推奨事項は、NSTCの「量子情報科学の国家的戦略概要」、「量子情報科学における国際人材の役割」の2レポート、および国家量子イニシアチブ(NQI)諮問委員会の NQI刷新に関するレポートの推奨事項に立脚している。これら取り組みの総合的推進により、米国政府は同盟国・パートナーと緊密に連携しながら、科学の厳密さと研究の公正性、調査の自由、メリットに基づく競争、開放性、透明性を支える原則を反映したQISTのグローバルな環境を構築することができる。
[DW編集局]