[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2024/09/09
抄訳記事公開日:
2024/10/15

「欧州の競争力の将来」:詳細な分析と提言

The future of European competitiveness – In-depth analysis and recommendations

本文:

(2024年9月9日付、欧州委員会(EC)発表の標記報告書の概要は以下のとおり)

■ 第1部:セクター別政策

①エネルギー、②重要原材料、③デジタル化と先進技術(高速/大容量ブロードバンド・ネットワーク、コンピューティングとAI、半導体)、④エネルギー集約型産業、⑤クリーン技術、⑥自動車、⑦防衛、⑧宇宙、⑨製薬、⑩輸送、の10セクターの各々について詳細な現状分析、今後の目標と施策提言が示されている。

一例として「防衛セクター」を取り上げると、今後の目標と施策提言が以下のように示されている。

EU施策の包括的目標は次のとおりである。
◇欧州の防衛産業と技術基盤を拡大・発展させ、必要な規模、スピード、行動の自由、自律性の強化をもって、欧州の新たな防衛・安全保障のニーズに対応できるようにする。
◇長期的な持続可能性、技術、産業競争力を確保するために、EUの防衛産業基盤の能力、準備態勢、生産性、効率性を強化する。
◇欧州の防衛セクターの研究開発を強化し、EUの防衛産業の技術的進歩を支援し、他のセクターとの技術の双方向波及効果を最大化する。

上記目標を達成するための施策として次の10項目の提言がなされている。
◇提案されている欧州防衛産業戦略(EDIS)の迅速な実施と欧州防衛産業プログラム(EDIP)の採択を進める。
◇加盟国グループ間の防衛資産に対する需要の集約を大幅に増加させ、防衛装備品のさらなる標準化と調和を追求する。
◇協力、欧州化、中小企業のサプライチェーンへの統合、防衛産業資産の国境を越えた構造的統合を支援する中期EU防衛産業政策を策定する。
◇EUの防衛産業能力開発にEUレベルの資金を提供する。
◇EU資金による資金調達手段へのアクセス制限を撤廃するなど、欧州防衛産業の資金へのアクセスを改善する。
◇欧州優先原則を強化し、欧州の防衛ソリューションと卓越性を非EUソリューションよりも重視する実質的なインセンティブ・メカニズムを導入する。
◇EUの競争政策により、必要に応じて産業防衛統合の規模拡大ができるようにする。
◇共通のEU R&D/R&T防衛イニシアチブに、努力とリソースを集中し、民生と防衛のイノベーション・サイクルにおける技術の波及効果を最大化する。
◇防衛産業政策がEUの制度的枠組みに反映されるよう、EUレベルでの権限を強化する。
◇EU加盟国のサブグループによる米国システム導入について、調整を改善し、統合する。

■ 第2部:分野横断的政策

① イノベーションの加速、②スキル・ギャップの解消、③投資の維持、④競争のあり方の見直し、⑤ガバナンスの強化、の5項目の各々について詳細な現状分析、今後の目標と施策提言が示されている。

一例として「イノベーションの加速」を取り上げると、今後の施策提言が以下のように示されている。

◇破壊的イノベーション、スタートアップ、スケールアップのためのより適切な資金調達環境。
◇よりシンプルでより効果的な第10期EU 研究開発枠組プログラム(FP10)を設計する。
◇学術的卓越性の推進と世界をリードする研究機構の支援。
◇世界をリードする研究・技術インフラへの投資。
◇研究・イノベーション連合を通じた研究・イノベーションの促進と政策連携の強化。
◇革新的な企業にとって有利でシンプルな規制。
◇EUのイノベーションの基本的な推進力としての繁栄の共有。

[DW編集局]