[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
カールスルーエ工科大学(KIT)
元記事公開日:
2024/09/24
抄訳記事公開日:
2024/10/28

科学をめぐる議論への新たな刺激

Neue Impulse für Wissenschaftsdebatten

本文:

(2024年9月24日付、カールスルーエ工科大学(KIT)の標記発表の概要は以下のとおり)

これまで「応用文化科学と大学における学問のためのセンター(ZAK)」と呼ばれていたKITの研究組織が、2024年10月1日より、「大学における学問 科学と社会フォーラム(FORUM)」に名称を変更し、役割を鮮明にしたうえで再発足する。名称変更に伴い同フォーラムは学際的な教育と社会問題についての意見交換と科学的分析の中心的なプラットフォームとして機能することになる。そして科学と社会の架け橋としての役割を強化する。

世界的な危機と激動の中で科学的知見に対して、期待とともに懐疑の念も高まっている。科学的知見が何を達成でき、何をできないかを理解することは、民主主義的な意思形成過程を成功に導くことと密接にかかわっている。ZAKがこれまで長年にわたり発展してきたこと、さらに今回のFORUMへの名称変更は、この知見をベースとしたものである。

FORUMの科学担当責任者でありKITの技術の将来研究所の科学コミュニケーション担当であるセニャ・ポスト教授は次のように語る。「科学・技術に関連する具体的な事例について、学生、研究者、ジャーナリズム関係者、政策立案者、経済界、そして関心のある一般の人々と科学と社会の間の緊張関係についての議論を継続的に行います。社会的課題についての議論を経験していくことにより、すべての分野の人々に科学的知見を扱う能力を作り上げていくことが目的です。社会的問題についての議論の中では、科学者の発言は純粋な科学的基準で評価されるのではなく、発言の政治的・社会的含意から評価されるようなことが起こる。このような両極化した議論を客観的アプローチに落とし込むことに貢献したい」

フォーラムの提供する主ななコースに「科学、技術、および社会」という新たな随伴プログラムがある。ここで学生や博士課程研究者は科学と社会の接点において解決すべき課題を学際的に考えることの習慣をつけられる。哲学、心理学、社会科学、文化科学からのものの見方を知ることは、彼らが研究、開発やマネジメントで必要な判断をする際に役立つ。

この新たな随伴学習は2024年/2025年冬学期からスタートし、選択の期間は数学期にわたる。専科の学習を補完し、専門課程における主要資格として認定される。

フォーラムの研究は、科学と一般市民との関係にも焦点をあてている。また、社会にかかわるテーマについて科学と市民との対話にも力を入れている。KITにおける講演や議論は市民とともに科学と社会の関係を考えることにより、差し迫った将来の課題の解決に導くことにもつながる。

[DW編集局]