[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2024/09/10
抄訳記事公開日:
2024/10/29

AIを使った数学・顕微鏡・気候研究に対して賞とメダルを授与

Ausgezeichnet: KI in Mathematik, Mikroskopie und Klimaforschung

本文:

(2024年9月10日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)

150万ユーロ相当のマックス・プランク・フンボルト研究賞は、数学の基本的な研究に人工知能(AI)を使用したシドニー大学のジョーディー・ウイリアムソン(Gordie Williamson)教授に贈られる。マックス・プランク・フンボルト・メダルは、コンピュータ支援顕微鏡の研究で、カリフォルニア大学バークレー校のローラ・ウォーラー(Laura Waller)教授に、気候研究などでのハイパフォーマンス・コンピューティングにおけるAIの導入で、トルステン・ヘフラー(Torsten Hoefler)ETHチューリッヒ教授に授与される。賞とメダルは、12月3日にベルリンで授与される。

1)ジョーディー・ウイリアムソン教授:これまでの研究で、組み合わせ理論や幾何学などさまざまな分野を結集したことが特徴的である。彼はオレゴン大学のベン・エリアス(Ben Elias)氏と共に、数学において重要なKazhdan-Lusztig予測を一般的に証明した。また、AIを使用して結び目理論の問題を解決することに取り組んでいる。このプロジェクトの目標の1つは研究に関係のない結び目が解けるケースを簡単に特定することである。これにより、研究者は、これらのケースを迅速に整理し、真に対象としている結節に焦点を当てることができる。そしてAIは研究者をサポートし、研究者が新しい数学的洞察を得られるよう助けることができる。

2)ローラ・ウォーラー教授:機械学習アルゴリズムを含むアルゴリズムを使用して、特に生物学的サンプルの顕微鏡検査だけではなく天体の画像処理も改善した。さらにコンピュータ・サイエンスと単純な機器を組み合わせて、詳細に可視化し、たとえば、3次元の画像やフィルムを作成した。また透明な物体を画像化することも出来る位相差顕微鏡を開発し、得られた画像は細胞の形状をよりよく表現するだけではなく、細胞の追跡も向上させた。別の発明では、センサーの1つの画像から非常に詳細な3D画像を再構築することができ、顕微鏡だけではなく、天体画像撮影にも使用できるようになった。

3)トルステン・ヘフラー教授:ハイパフォーマンス・コンピューティングとAIのアプリケーションにおいて、アルゴリズムの効率を向上させることに重点を置いてきた。彼と彼のチームは、気候シミュレーションのための大量のデータ処理において、特に目覚ましいブレーク・スルーを達成した。ニューラルネットワークを使用して研究者達は精度を犠牲にすることなく、このデータを元のボリュームの1,000分の1に圧縮した。ハードウエア、ソフトウエア、アルゴリズムを巧みに組み合わせて最適化することで、彼はコンピュータ・システムの効率を最大1,000倍に向上させた。今後、AIの更なる発展に大きく貢献し、コンピュータ・サイエンスの新しい応用分野を切り拓く可能性がある。

[DW編集局]