[本文]
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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- マックスプランク協会(MPG)
- 元記事公開日:
- 2024/09/10
- 抄訳記事公開日:
- 2024/10/30
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現在のオゾン層の状況は?
- 本文:
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(2024年9月10日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)
科学者らは、1974年に初めて人間によるオゾン層の破壊について警告した。大気化学者のマリオ・モリーナ(Mario Molina)とフランク・シャーウッド・ローランド(Frank Sherwood Rowland)は、ネイチャー誌で、クロロフルオロカーボン(CFC)またはハロンが成層圏に蓄積し、そこでオゾン層を破壊したという仮説を発表した。原則として正しかったが、決定的な証拠が見つかり、CFCとの戦いが始まるまでには何年もかかった。初めてオゾンホールが南極上空で検出されたのは1985年で、最近では2020年に北極上空でも検出された。
NASAによる測定飛行:1980年代の初頭、博士課程の学生としてクルッツェン(Crutzen)のグループに加わった化学者クリストフ・ブリュール(Christoph Brühl)は、次のように述べた:「同僚のスーザン・ソロモン(Susan Solomon)がNASAと協力して、オゾン、CFC、その他のガス濃度を現場で測定する飛行を行ったが、これらは我々のモデル研究にとって重要でユニークなデータであった。」クルッツェンが開発したオゾン層破壊に関する論文のオゾン分子が次々に破壊される化学反応である触媒サイクルの原理を検証できたからである。
パウル・クルッツェン(Paul Crutzen)とオゾン層の研究:クルッツェンの研究の功績の一つは、触媒サイクルのモデルをCFCに適用したことで、ここでは塩素原子がオゾン分子を次々と分解している。
雲の役割:春の始まりと共に、雲に当たる最初の太陽光は、極成層圏雲(PSC)の表面で塩素攻撃とオゾン層破壊の連鎖反応を引き起こす。「CFCとオゾン層破壊」のトピックは、地球環境保護の最大のサクセス・ストーリーの1つとなった。
森林火災がオゾン層にダメージを与える:今世紀半ばまでにCFCはなくなると想定されてはいるが、ブリュール氏の元同僚であるスーザン・ソロモン(Susan Solomon)氏は、CFCに由来する塩酸分子が明らかに煙粒子の表面に付着していることを発見した。塩酸はそこで他の物質と反応し、塩素分子を放出する。日光は最終的に塩素分子を反応性の高い塩素ラジカルに分解し、それがオゾン分子を大量に分解する。
微量ガスの力:ブリュール氏は次のように述べた。「大規模な森林火災は、オゾン層回復の前向きな傾向を逆転させる可能性がある。大規模な火山の噴火によるオゾン層への影響は、現在も測定可能である」。良いニュースとしては、南極と北極のオゾンホールは、時には北西ヨーロッパに達することもあるが、小さくなりつつある。唯一の未解決の問題は、CFCの影響が完全に消えるまでに実際にどれくらいの時間がかかるかである。
[DW編集局]