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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ工学アカデミー(acatech)
- 元記事公開日:
- 2024/09/30
- 抄訳記事公開日:
- 2024/11/01
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核融合は未来のエネルギーか?
- 本文:
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(2024年9月30日付、ドイツ工学アカデミー(acatech)の標記発表の概要は以下のとおり)
将来の気候中立な電力システムで、核融合はどのような役割を果たすことができるのか?核融合はいつ頃までにエネルギーを提供できるようになるのか?そしてこのテクノロジーの機能の仕方は?これらについては、アカデミープロジェクト「未来のエネルギーシステム (ESYS)」の新刊「簡単に解説!(Briefly explained!)」の中で説明されている。
核融合では、軽元素の原子核が融合して新しい化学元素を形成し、これによりエネルギーが放出される。核融合研究の目的は、太陽の中で継続して進行中のこのプロセスを地球上で発電に使用できるようにすることであり、この技術が実装されれば、気候に優しく、継続的に利用可能なエネルギー源として、長期的には将来のエネルギーシステムの一部となる可能性がある。核融合の物理的原理、その歴史的発展、さまざまな発電所の概念と可能性のある燃料、そしてそれらの将来の利用可能性について、今回の新刊の中で述べられている。
ここでは核分裂との違いについても説明されている。核融合発電は、低から中レベルの放射性物質しか生成しないが、それらは崩壊するまで約100年保管する必要がある。また核融合発電には、核分裂のような制御不能な連続反応の危険性もない。
再生可能エネルギーの補完:
この数か月から数年の間に、世界中の様々な研究機関が核融合の分野における科学的な成果を報告している。この分野に関与するスタートアップ企業の数も増えている。これらすべてが、近年の核融合研究を前進させているが、通常の発電所の運転と同一水準になるには、まだ長い道のりである。多くの専門家は、最初の核融合発電所は、少なくとも20~25年間は建設されないと予想しており、このことは、この技術が2045年から2050年までのドイツとヨーロッパの気候目標の達成に、大きくは貢献しないことを意味している。従って、再生エネルギーに焦点を当てた気候中立なエネルギーシステムへの移行を諦めないことが重要である。しかし今世紀後半には、増大する電力需要を満たすために核融合が役立つ可能性がある。
[DW編集局]