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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- カールスルーエ工科大学(KIT)
- 元記事公開日:
- 2024/10/09
- 抄訳記事公開日:
- 2024/11/08
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世界初のアジャイル生産システムによるバッテリーセル生産を開始
- 本文:
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(2024年10月9日付、カールスルーエ工科大学(KIT)の標記発表の概要は以下のとおり)
ロボットを用いたモジュラー型のアジャイル生産システムにより、将来的に電気自動車や電動工具などの顧客の要求に対応したバッテリーセルの柔軟な生産が可能となる。KITの研究者たちは、柔軟性の高いロボットを用いた自動化により、これまで手作業でしかできなかったセルの組み立て作業の、柔軟性に優れた自動化に成功した。これにより企業はより早く新技術に対応することが可能になり、産業集積地としてのドイツの競争力を高めることができる。連邦政府と州政府は約1,900万ユーロでこの開発を支援した。
連邦経済・気候保護省(BMWK)によればバッテリーセルは多用途かつ効率的なエネルギーの貯蔵設備としてますます重要になってきている。製造企業からみるとこのキーテクノロジーは高い戦略的・経済的意味を持つ。現在、バッテリーセルの需要は、アジアや北米におけるコストを重視した大量生産により賄われている。このことはドイツの機械製造やプラント企業に影響を及ぼしている。
KIT生産科学研究所のフライシャー(Prof. Jürgen Fleischer,)所長兼教授は「ドイツはバッテリーセルのコスト重視の大量生産や、関連する機械製造において、世界で競争できる条件を備えていない。KIT生産工場における世界初のアジャイル・バッテリーセル生産の開始は、高い柔軟性と資源の効率的利用によって世界市場と差別化し、特に利益率の高いプレミアムセグメントやニッチな市場に取り組む方法を示している。」と語る。
KITの研究者は、Exyte社と共同で高い省エネ効果を持つ特別なロボットセルを開発した。フライシャー所長は「世界初といえるもので、湿度に敏感なバッテリー部材の保護のためマイクロ環境とも呼ばれる局所的な乾燥空間を提供している」と語る。もう一つ特記すべきは「デジタル・ツイン」である、つまり生産システムのバーチャル・イメージを構築した。これにより研究者は、ソフトウェアを利用して複数のマイクロ環境を利用した場合の規模の経済性を計算し、最適な生産規模を決めることができる。実際に使われる生産システムではデータベースとの接続が行われ、将来的にはすべての生産過程の実装・改良が人工知能を活用して行なわれることになる。
今回開発された施設は、2011年以来KITで開発されてきたバッテリーセル製造分野の研究インフラを補完するものである。AgiloBat研究プロジェクトでは、KITの7つの研究所の研究者がパートナーであるバーデン・ヴュルテンベルク州太陽エネルギー・水素研究センターとフラウンホーファー化学技術研究所と協力して研究を行っている。さらに機械・プラント産業からはCoperion有限会社、SAUERESSIGグループ、シュンク グループ、ヘルマン超音波技術有限会社、シーメンス株式会社、DEHOF ingenieru+technik、Exyte技術有限会社が参加している。本プロジェクトは連邦教育研究省(BMBF)より1,450万ユーロ、バーデン・ヴュルテンベルク州科学・研究・芸術省から450万ユーロの支援を受けている。
[DW編集局]