[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ヘルムホルツ協会(HGF)
元記事公開日:
2024/10/11
抄訳記事公開日:
2024/11/12

エネルギー転換の成功に向けて

Wie die Energiewende gelingen kann

本文:

(2024年10月11日付、ヘルムホルツ協会(HGF)の標記発表の概要は以下のとおり)

ドイツ政府は、2045年までにエネルギー転換を完了させたいと考えている。カールスルーエ工科大学(KIT)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、ユーリッヒ研究センター(FZJ)の研究者がエネルギーシステムの持続可能な変革を成功させる方法を概説する。ポリシー・ブリーフィングでは、HGFの科学者が生態学的、経済的、制度的、組織的、社会的側面を含めて考えられる将来のシナリオを分析した。

KITの技術評価・システム分析研究所のコップミュラー(Jürgen Kopfmüller)氏は次のように述べた。「分析の核を成すものは、社会技術的エネルギーシナリオと、持続可能性に関するそれぞれの影響評価である。2045年までに、エネルギーシステムを持続可能で気候中立なシステムに転換させるために、政治家に意思決定のための優れた基盤を提供したいと考えている」。統合シナリオ・アプローチは、現在議論されている多くのシナリオよりも複雑さにうまく対応している。

◇電化への注力:
HGFのプログラム「エネルギー・システム・デザイン(ESD)」でブリーフィングを準備した著者らは、以下のようにアドバイスしている。「生産および輸送プロセスの電化は、将来の戦略の中心にあるべきである。ドイツでは、再生エネルギー源からの発電をもっと拡大する必要がある。我々のシナリオでは、太陽光発電は2045年までに370~435ギガワット、陸上風力発電は210~220ギガワット、海上風力発電は53~70ギガワットに設備容量の増加が必要だと見ている。これは現在設置されている容量の3倍以上である」

◇副作用や負担を考慮する:
電化を進めるには、CO2の貯蔵、または処理できるインフラの開発が必要である。FZJの気候エネルギーシステム研究所のフェーゲレ(Dr. Stefan Vögele)氏は、次のように説明した。「全体として検討した変革戦略により国内の価値創造は増加するが、政策立案者は、エネルギー転換の受け入れを危うくしないためにも、低所得世帯の負担増の可能性を最小限に抑える必要がある」

KITは、HGFの研究大学として、社会と環境のための知識を創造し、伝えている。そのイノベーション活動は、知識と応用の間の橋渡しとなり、社会の利益、経済的繁栄の維持、そして天然資源の保護を実現することを目指している。

[DW編集局]