[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相府
元記事公開日:
2024/10/10
抄訳記事公開日:
2024/11/13

4,700件に350億ユーロ投資 「フランス2030」開始から3年

France 2030 fête ses 3 ans

本文:

 首相府は11日(※注)、総額540億ユーロの5か年投融資計画「フランス2030」の開始からまる3年が経過したのに合わせて計画の進捗状況を発表し、この3年間で、イノベーション実現を目的としたプロジェクト4,700件に約350億ユーロを投資したことを明らかにした。

 「フランス2030」は、研究開発支援を主な推進力として、産業力強化やイノベーション創出を目指す投融資計画で、首相府投資総務庁(SGPI)が統括。2022~26年の政府一般会計予算の主要経費「2030年のフランスのための投資費」から、計540億ユーロを支出する予定である。国策研究を指定して重点投資する「優先研究プログラム」(PEPR)、各地の大学の特色ある研究を支援する「エクセランス」(ExcellenceS)、同じく大学のイノベーション拠点化を目指す「大学イノベーション拠点」(PUI)、卓越した人工知能(AI)の研究拠点形成を目指す「AIクラスター」、優れた医療研究拠点形成を目指す「ビオクラスター」などの各プログラムほか、2023年12月にマクロン大統領が発表した研究ユニットの簡素化改革にかかる費用も、すべてこの「フランス2030」の予算でまかなわれている。

 「フランス2030」による成果として政府が発表した主な指標は、次の通り。

【全体的な成果】
▽投資の65%は中小企業(PME)もしくは中堅企業(ETI)が対象となっている。
▽これまでに9万3,000人分の雇用を創出した。
▽若年層を中心に、4万8,800人分の職業訓練・教育機会を創出した。
▽国全体での二酸化炭素排出を毎年1,100万トン削減した。
▽9種類の新薬を開発した。

【分野・領域ごとの成果】
▽「エネルギー転換」:風力、脱炭素水素で大規模投資が実施され、Sofresid EngineeringやGENVIAなどの企業が特に貢献している。
▽「脱炭素モビリティ」:Alpine社の「DZ110」プロジェクトなど、政府が電気自動車の生産を支援。2023年には、国全体で、ハイブリッド車を含めて電気自動車が約490万台生産された。
▽「農業・食料」:「Pour un agriculture du vivant」運動によって進められている「COVALO」プロジェクトでは、2027年までに5,000の農業事業者の農業転換を促す取り組みが進んでいる。
▽「医療」:人工知能を活用して医療従事者の業務効率化を推進するソフトウェア「Therapixel」の開発が進んでいるほか、がん対策の強化を目的とした「パリ=サクレーがんクラスター」が設置されるなどした。
▽「宇宙」:Thalès Alenia社などが中心となって二酸化炭素排出を検知する衛星の研究開発を進め、産業界や広く社会全体の二酸化炭素排出問題への対策に貢献している。また政府はLatitude、HyPrSpace、Sirius Space Services、Maiaspaceの4社による小型の打ち上げ機の研究開発も支援している。
▽「深海底探査」:専門的な中小企業であるARKEOCEAN社が探査技術の開発を進めているほか、ECAロボティクス社や国立海洋開発研究所(IFREMER)が、6,000メートルの深海底に潜水可能な新世代ドローン「UlyX」を駆使して海底探査を行うことが可能になっている。
▽「デジタル技術」:専門のスタートアップ、Qubit社やNeuronys社が、コンピューターやそのシステムの能率を上げるための研究開発を進めている。

(※注)今回の政府発表の首相府公式サイト(参照元)には「10月11日発表、10月10日修正」と表示されていますが、今回の政府発表が「フランス2030」開始の公式発表(2021年10月11日)からまる3年の節目を捉えたものであるほか、現地メディアの報道でも今回の発表日が「2024年10月11日」とされていることなどから、当編集局では、少なくとも発表日については「11日」であると判断しています。

[DW編集局]