[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2024/10/29
抄訳記事公開日:
2024/11/29

中国とは困難な時期だからこそ科学での団結が必要

„Gerade in schwierigen Zeiten müssen wir in der Wissenschaft zusammenstehen“

本文:

(2024年10月29日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)

2024年10月28日、MPGのクラーマー(Patrick Cramer)会長は、中国科学院(CAS)とのコラボレーション50周年を記念して、ベルリンのハルナックハウスで科学ワークショップと夜のイベントを開催した。昼間は6つのワークショップが開催され、科学の歴史、生物多様性や気候保全の研究、物理の基礎研究まで、MPG-CASの協力の多様性も反映されていた。夜のイベントでは、CASとのサマースクール・プログラム設立のための覚書が署名された。

クラーマー会長は次のように述べた。「特にこの困難な時期には、科学に携わる我々は、リスクを冒すことなく、科学分野で団結し、既存の橋を維持し、新しい橋を架けなければならない。結局のところ、直面する多くの地球規模の課題に一緒に取り組むしかない。」例として、クラーマー会長は、地球規模の気候危機、危機に瀕している生態系、化学産業を含む変革プロセスなどを挙げた。

以下の4つのプロジェクトは、MPGが中国の機関との協力から恩恵を受ける主要な分野を反映したものである。

◇世界最大の電波望遠鏡で極限の星を検出:
MPGが使用したユニークなインフラの一例は、中国南西部にある口径500mの世界最大の電波望遠鏡、天眼(FAST)である。中国のFAST望遠鏡は感度が高く、すでに空全体で数百もの新しいパルサーを検出している。MPG電波天文学研究所(MPIfRA)の天文学者であるクルーセス(Marilyn Cruces)氏は次のように述べた。「最高の科学研究を行うことは、全員の目標であり、それはドイツと中国の両方の望遠鏡の強みを組み合わせることによってのみ可能となる。」

◇気候変動と人間の活動は、乾燥地帯での生活をどのように変えるか?:
MPG生物地球化学研究所(MPI BGC)とCASの生態環境科学研究センターのチームは、干ばつの増加と土地利用の変化が乾燥地生態系の炭素収支にどのように影響するかを調査している。変化した気候条件では植物や土壌生物が炭素と結合しにくくなり、その結果、大気中から取り込むCO2量が少なくなり、地球温暖化が進むのではないかという問題を調査している。

◇再生生物医学:心臓発作後、心臓組織はどのように再生されるのか?:
MPG心肺研究所(MPI HLR)のブラウン(Thomas Braun)氏は、中国のパートナーと共に、心臓発作後に、心臓組織がどのように再生するかについて重要な洞察を得た。広州の研究者と共に、エネルギー代謝からの中間生成物が成熟した心筋細胞の分裂能力を高めることを発見した。

◇帝政末期中国における宇宙観の変化と、環境と生命に関する知識への影響:
MPG科学史研究所(MPIWG)のシェーファー(Dagmar Schäfer)所長は、中国の技術の歴史と社会学、および過去と現在の技術開発に関する言説を形作るパラダイムに研究の焦点を当てた。宇宙論的知識がどのように地域化され、日常生活や技術的実践に統合されていったかを検証することは、人類の生存と適応が常に環境と宇宙に関する知識に依存していたことを示した。彼女のワークショップは、MPGとCASの協力50周年を祝う今回の学術イベントの一環であった。

[DW編集局]