[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ工学アカデミー(acatech)
元記事公開日:
2024/10/31
抄訳記事公開日:
2024/12/04

学習システムプラットフォーム運営委員会 : 焦点はロボット学習とAI法

Lenkungskreis der Platform Lernende Systeme : Robotisches Lernen und der AI Act im Focus

本文:

(2024年10月31日付、ドイツ工学アカデミー(acatech)の標記発表の概要は以下のとおり)

人間や周りの環境とコミュニケーションを取りながら学習するロボットはさまざまな産業界での用途の可能性を広げている。これに対し、いくぶん制約的に働いているのは8月に発効したEUの人工知能指令、いわゆるAI法である。ベルリンで開かれた第14回学習システム(Lernende Systeme)プラットフォーム(PLS)運営委員会での討議では、これらが議論の焦点となった。運営委員会では連邦教育研究省(BMBF)ブランデンブルク政務次官とドイツ工学アカデミー ヴェルナー会長を交え、これまでの事業成果と今後の活動について討議した。

AIとの連携はロボットの利用を新たな段階に引き上げる。学習可能なロボットは現実環境あるいは模擬環境において人間や技術システムとの相互作用により、新たな経験を蓄積し、様々なタスクに適切に対応できるようになる。デュイスブルク・エッセン大学医療技術システムの専攻長であるキルヒナー教授(Prof. Elsa Kirchner)は自身の率いるPLSのワーキンググループで進めたユースケースを用いて説明を行った。

外骨格や装具としてのロボット・スーツは患者からのフィードバックを学習し、どのような方法と強さのサポートを患者が快いと感じるかを学び、患者に適応していく。キルヒナー教授によれば、学習するロボットシステムの可能性は特に小ロット生産に対応することに適している。

バイロイト大学無体財産権法、経済法で民法、を専門とするPLS委員でもあるヤナール教授(Prof. Ruth Janal)は、欧州のAI法は統合的なAI指令という観点で世界における先駆的な役割を果たしているという。AI法は、EU市民の安全、基本権、健康にかかわる潜在的リスクに応じて、AIシステムを様々なリスクの領域に分類することを求めている。

高度なリスクを伴う例として、教育、人事選考、法執行のための人の生態認証やシステムの認定について強い義務が課されている。AI法の執行においては各国で監督機関を指定している。さらにリスク管理と技術レベル維持のための標準を保有するとともに、既存の標準とのギャップを埋めることをも求められている、とヤナール教授は語る。PLS委員であるグレーザー氏(Marian Gläser)は自身の設立したスタートアップであるブライターAIを例にあげ規制が企業にとってチャンスをもたらすことがあると語った。

結びのディスカッションで会議の参加者は、AI法の具体化を発展的に支えていくこと、また内容がよくわからずに心配を抱えている中小企業がAIシステムを活用できるようにユースケースも紹介しながら支援していく必要性を強調した。

[DW編集局]