[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2024/11/13
抄訳記事公開日:
2024/12/09

教師と生徒が利用できる科学的情報の提供機関

«Le CNRS est une référence scientifique vers laquelle enseignants et élèves peuvent se tourner»

本文:

(2024年11月13日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記記事の概要は以下のとおり)

研究と教育の関係強化を目指すCNRSと国民教育省のパートナーシップである地球科学年の目的について、CNRSのニコラ・アルノー(Nicolas Arnaud)地球・宇宙部長が語る。

◇なぜ今年が地球科学年なのか?対象は?

地球科学年の対象は2024年から2025年の学年度であり、若者や一般人における地球科学の重要性についての啓発、科学的アプローチの促進、専門職への就業機会の増進が目的である。今年は主に教師を対象とし、科学的な問題への取り組み、研究との強力なリンクに向けて、国・地域における持続可能な関係の形成を支援する。

CNRSとその地球宇宙研究所は、地球をシステム全体として理解する地球科学の観点から気候変動、天然資源、自然リスクに取り組むという任務を有しており、CNRSは教師と学生が利用できる科学的な情報提供機関となっている。

偽情報が飛び交う今日、科学研究を一歩一歩進めるべきたという理解は、その研究結果を得るのと同じくらい重要であり、こうした知識をいかにして得ていくかを示す活動が、科学的真実を広める防波堤として期待されている。今年は、科学的事実にもとづき気候変動を理解できるよう教師を支援する。

▽地球科学年の主な柱は何か、このイニシアチブにおける教育的、科学的、専門的な課題は何か?

地球科学年の柱は3つあり、第一は学校のカリキュラムに地球科学を組み込むことであり、資源やリスクなどの問題、地球上の生命空間の成り立ちと限界を取り上げる。

次に科学的な推論を学ぶこと、すなわち明日の市民となる学生たちに科学的アプローチに役立つ批判的思考を奨励し、世界を理解し分析するために必要なスキルを提供する。自然観察に基づく地球科学は、地球を総合的に理解するモデルの構築を可能にしている。

最後に官民両面で研究者、技術者になる理想的な訓練を提供し、若者が明日の職業に備えられるようにすることである。

◇エコロジー移行と気候変動の関係で地球科学上の最重要課題は何か?このイニシアチブがもたらす資源の持続可能な管理と自然災害のリスクの理解にもたらす効果は?

地球科学を通して地球を学べば、長い時間にわたるこの複雑なシステムの変遷とその影響が若者の世代にどう関係するかが理解できる。すでに気候変動の影響を目のあたりにしているが、地球科学特有の時間と空間を理解することは難題である。

地球科学は、数学や化学と違って複雑な概念をまとめた知識の集合であるが、社会的課題を理解し適切に行動する上で重要であり、最終的には社会の持続可能性を考え、環境問題を直視できる市民を育成することを目指している。

◇国民教育省との協力関係は? 学校ではどのように実施されるか?

科学者が教室に行って地球科学関係の様々な問題を取り上げ、また職業の多様性や女性の参加促進という包摂性の問題に焦点を当てる。

学生が研究室に行く機会も設け、地質・鉱山研究所(BRGM)、国立自然史博物館等と連携して地域展開も進める。レユニオン島など海外領土や優先教育地域との関係に特に注意が払われている。様々な教材をまとめ、アクセスできるようにもしている。

◇若者や一般人へのメッセージは?

今年のモットーである「地球を探索し、未来を動かす」は、このイニシアチブをよく表しており、この世界の探索がより良い未来への希望をもたらす。持続可能な未来を実現するために最適な選択をするということは、つまり地球そのものを理解するということだ。

[DW編集局]