[本文]
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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 国立科学研究センター(CNRS)
- 元記事公開日:
- 2024/11/14
- 抄訳記事公開日:
- 2024/12/10
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Quandela社、CNRS、大学が協力して量子フォトニクス研究開発を加速
- 本文:
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(2024年11月14日付、国立科学研究センター(CNRS)による標記発表の概要は以下のとおり)
量子計算の新興企業Quandela社、CNRS、パリ=サクレー大学、およびパリ・シテ大学は11月13日、量子フォトニクス(ナノスケール・デバイスの量子領域で光を制御する技術)の研究に特化した共同研究室「QDlight」を立ち上げた。国立研究機構(ANR)が支援する産学連携の研究室支援プログラム「Labcom」の一つとして採択された。チームは6年間にわたり、新世代の量子光源と、従来にない10倍の計算能力を持つ光量子コンピュータの開発に向けた協力を強化する。
◇量子フォトニクス、または量子領域での光制御技術
量子フォトニクスは、光の量子特性、特に一つずつ放出される単一の光子を利用して量子計算と通信の保護を実現する。この分野は、量子計算 (量子コンピュータと量子ネットワーク) または改ざん防止暗号鍵配送プロトコル(量子暗号化)の最も有望な手段の1つを提供する。Quandela社は、光量子計算の欧州有数の企業であり、CNRSナノサイエンス・ナノテクノロジーセンター(C2N-CNRS)、パリ=サクレー大学、パリ・シテ大学が共同で設立。2017年から欧州で光量子計算技術に不可欠な要素である量子光源を製造、販売しており、23年には初の光量子コンピュータを納入した。これらの光源は、半導体材料のマトリックス中の人工原子と見なせる量子ドットで構成されており、この人工原子に凝集させた連続レーザーパルスによって、任意に放出できる一連の単一光子を生成できる。
これらの量子ドットが置かれている光共振器による共鳴と光子抽出の条件を最適化して、数十メガヘルツのレートで光束を発生させることができ、これが光チップ上に量子計算プロトコルを効率的に実装することに使用される。
◇これまでにない計算能力と効率を目指す
今回の研究室は、新しい量子光の状態を生成する光源とプロトコルの開発を目標にしており、エラー耐性があり、量子通信プロトコルを実証する光量子コンピュータの実現を目指す。このための研究は次の2つの分野に分かれる。
まず「光」分野は、まず光量子もつれプロトコルを開発して、多重化された量子もつれの連鎖と図表を作成する。これらの非古典的な光の状態は、汎用型量子マシンを実現する最も有望なフレームワークである測定型量子計算のパラダイムの核心である。
また「成長」分野は、研究室内で製造される量子ドット光デバイスの品質向上に焦点を当てる。特に、光子の「量子純度」を制御し、光デバイス製造の再現性を高めるために超高純度材料を成長させる課題がある。
◇公的研究とビジネスの緊密な協力関係の継続、QDlight
Labcomは、Quandela社と、それが生まれた研究所であるナノサイエンス・ナノテクノロジーセンター(C2N)との間で2017年以来実施されてきた共同研究の継続である。その結果、半導体量子ドットの物理学、固体微小共振器内の光と物質の相互作用、量子光生成プロトコルとその測定、および量子プロトコルや計算の最初の実装に関する基礎研究のために、一般の研究者と企業の研究者の間で数多くの交流が生まれた。QDlightは、半導体単一光子源技術における世界的な競争力を維持するための新たな一歩であり、その絶え間ない改良を保証し、研究開発活動における優れた特性を活用している。
[DW編集局]