[本文]
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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 高等教育・研究省(MESR)
- 元記事公開日:
- 2024/11/19
- 抄訳記事公開日:
- 2024/12/16
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エゼル大臣、MESRの戦略ロードマップを発表
- 本文:
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(2024年11月19日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は以下のとおり)
パトリック・エゼルMESR大臣がクララ・シャパーズ(AIおよびデジタル担当)特命担当副大臣は11月19日に共同で記者会見し、MESRの戦略ロードマップを発表した。国家の繁栄と主権のため、学生の支援と訓練、研究の改革と影響の拡大、および高等教育と研究の活動様式の責任、評価、簡素化という3つの主要な具体的優先事項にもとづいている。
◇よく練られた研修の提供、より透明性の高い情報、安心して勉強できる生活環境
高等教育コースの品質の向上を目指し、就職に有用な情報機会となることを期して大臣は、研修の提供内容の明確化を図り、透明性と品質を保証するものを中心に構成する。このため優先事項として、関係機関の間の法的枠組みの簡素化と明確化を図り、特定の民間団体の行き過ぎを止めるため法的措置を強化し、全省庁共通の研修品質参照フレームワークを提案し、そして高校生と大学生向けオリエンテーション等を提供する学生サロンの倫理規程を策定する。同時に研修がもたらす職業への展望を学生に十分に伝えるため、2025年からは高等教育機関登録サイト(Parcoursup)において就職率と採用条件のデータを統合して専門的な就職のチャンスが見えるようにする。
良好な学習環境を保証するため、ケータリング、奨学金システムおよび住宅を改善し、メンタルヘルスにも特に留意を払う。このため、▽2026年度学期当初の実施を目指した奨学金の改革、▽全国どこでも手頃な価格でケータリングの利用、▽遊休地を生かした学生専用住宅ユニットの年間7,500戸の建設ペースの確保、および2027年までに7,000の「地域圏立教育研究文献センター」(CROUS)の7,000か所の修復、▽「学生のメンタルヘルス」計画の立ち上げ、▽キャンパスの静けさと安全の確保に向けた機関の責任者を支援するための「ツールボックス」の定義付け、という5つのアクションが実行される
◇「研究協約」
フランスの研究開発投資はGDPの2.2%のピークで止まっているが(OECD諸国の平均は2.7%)、大臣は、国の投資の増強に向けて官民の関係者を動員する「研究協約」を要請している。このため優先事項として、▽民間支出の割合を増やすよう、企業との行動計画の策定と、年間190億ユーロの国の研究開発投資、および研究税額控除への70億ユーロの追加、▽研究をイノベーションへ転化する上での官民協力の障害への取り組み、▽新しい欧州機関の設置の一環として研究に特化した欧州資金の動員と確保、▽人工知能(AI)開発の加速、特に研究者や新興企業のニーズへの関係インフラの適合を進める。また、大臣は、AIに適合した教育方法に関するミッションを設定すると表明した。◇大学の自治の新たな段階
15年以上前に採用された「大学の自由と責任に関する法律(LRU法)」は、大学にさらなる大きな自治権を与え、大学を責任と革新のダイナミクスの中心に置き、高等教育の大きな転換点となった。この枠組みは概ね肯定的に受け止められており、今日直面する課題においてフランスの大学システムをより効率的で適切なものにすることができた。一方で大臣は、フランスの大学が新たな変革期を迎えているとし、各機関に応じた裁量性のある行動を提供する目標を持って、2025年からは、自発的に希望する大学と協力して新しい組織形態を実験することとし、特に人的資源の管理、人材育成や財政管理を進める。
[DW編集局]