[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2024/12/03
抄訳記事公開日:
2024/12/18

フランスの大学の財政状況

Situation financière des universités

本文:

(2024年12月3日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は以下のとおり)

ここ数週間、大学の財政状況について議論が行われており、パトリック・エゼルMESR大臣は、自身の立場を踏まえつつ、大学の要求に応える措置を共有することを表明している。

◇必要かつ望ましい予算改革
11月19日発表のロードマップでも示されているように、大臣は、大学に割り当てられるリソースの配分システムの徹底的な見直しが不可欠であると考えている。

長年にわたり実施されてきた現在のやり方は、各大学の異なる背景を考慮するほど十分に進化しておらず、その結果、大学間に大きな格差が生じ、リソースの最適な分配ができていない。この状況を改善するため、2025年上半期から改革を開始し、2026年に運用する予定である。

◇2025年の財務状況
2025年のMESRの予算は全体として確保され、むしろ若干増額されている。しかし、特に緊縮財政の中では連帯した取り組みが公共事業者全体に求められており、その一環として、主に給与対策と退職年金の支払いに由来し、大学の予算全体の約3%に相当する約3億5,000万ユーロの予算を節約する努力が高等教育機関には求められている。

「研究・高等教育」ミッション(編集局注:「ミッション」はフランス政府一般会計の予算枠の分類。わが国で言う「主要経費」分類に相当)に関する会計検査院の2023年度予算執行の分析では、大学全体のキャッシュフローは48億ユーロと見積もられ、この額は、MESRの関係部局により2023年度決算額に基づいて57億ユーロと再評価されていることから、MESRでは上記の節約額は、2025年における多くの大学の努力によって吸収できると考えられている。

一方、約10の大学は追加的な節約を行うことは難しく、より困難な財政難に直面する恐れがある。厳しい状況にある大学については詳細な調査を行い、必要に応じて特別な財政的支援が適時実行される。

しかし、大学において全体として予算上の危機が迫っているわけではないことを強調することは重要である。透明性を確保し、この問題に関する客観的な対話を促進するために、この機会にMESRは2024年末の大学の財政状況に関連する数値を公表する。

◇大学に対するより柔軟な予算フレームワーク
最後に、大学学長が予算に関して行動する上で重くのしかかっている構造的な障害を認識し、2025年以降の課題として高等教育機関の財務管理をより柔軟にし、簡素することを目的とした政令が近日中に発表される予定である。

大臣は、すべての大学に対して解決策を用意するとコミットしつつ、公的財政の状況が求める義務は履行するとしている。また大臣は、フランス大学学長会議(France Universités)の代表者と意見交換を継続し、財政問題を含む諸課題に関して協調して対処していくことを目指している。

[DW編集局]