[本文]
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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 議会科学技術選択評価局(OPECST)
- 元記事公開日:
- 2024/12/04
- 抄訳記事公開日:
- 2024/12/23
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政府AI戦略は「不十分」 議会評価局が報告書
ChatGPT, et après ? Bilan et perspectives de l’intelligence artificielle
- 本文:
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上下両院の議員で構成する議会科学技術選択評価局(OPECST)は4日、政府が2018年に着手している人工知能(AI)国家戦略の推進状況について「まだ不十分な状態だ」(en demi-teinte)などとする報告書を公表した。
「ChatGPT、その先には何が? AIの総括と見通し」と題したこの報告書は、アレクサンドル・サバトゥー(下院、オワーズ県選出、国民連合)、パトリック・シェーズ(上院、アン県選出、共和党)、コリンヌ・ナラシガン(上院、セーヌ=サン=ドニ県選出、上院社会党系グループ)の3議員がまとめている。
政府はAIへの重点投資を目指して2018年に第1期AI国家戦略に着手し、23年からは第2期に移行。この間、AIに特化した研究拠点「AIクラスター」9か所(前身の「トロアジーアー」4か所含む)を採択したほか、国内の共通基盤の構築や関連産業の人材育成などに重点投資してきた。
こうした政府の戦略について、報告書は「2024年現在は弱体化したまま」(reste toujours défaillant en 2024)と評価し、「政府のかけ声とAI関係のイベントに沿って動いているだけで先導役が不在だ」(demeure en réalité sans pilote, évoluant au gré des annonces de l’exécutif et des événements organisés autour de l’IA)などと批判。23年4月に会計検査院が公表した報告書を引用しながら「省庁間の協力関係が不十分だ」とも指摘した。
さらに報告書では、米xAI社が開発したAIモデル「Grok」に言及し、これに使われているスーパーコンピューターの計算能力が、フランスなどが開発したスパコン「ジャン・ザイ」(Jean Zay)よりも圧倒的に高く、今後もさらに高まっていく見通しであるなどとして、米国企業などとの競争に危機感を示した。
そのうえで報告書は、政府に対して「AIのアプローチは横断的にならざるを得ないという原則を認め、リスクのみに特化したアプローチを断念すること」(提言第1項)、「国際的に一本化した組織の庇護のもとで世界統一的なAIのガバナンスを設けるように提案すること」(同第2項)、「OECDやEUを巻き込みながら国際的な規制の枠組みをスタートさせること」(同第3項)、「AIバリューチェーンを結束させ、フランスまたは欧州全体の方法で発展させること」(同第6項)、「目的、手段、フォローアップ、そして評価を伴いながら、AIの公共政策を推進すること」(同第7項)――など計18項目を提言した。
[DW編集局]