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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国防省(MOD)
- 元記事公開日:
- 2024/12/02
- 抄訳記事公開日:
- 2025/01/08
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国防産業戦略に関する意向表明
- 本文:
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(2024年12月2日付、国防省(MOD)発表の標記ポリシーペーパーの概要は以下のとおり)
政府が最近発表した新時代の産業戦略[編集局注:2024年10月14日にビジネス・通商省が政府案を発表した産業戦略「Invest 2035」を指す。正式発表は2025年春を予定]では、国防を経済成長のための8つの優先セクターの一つに挙げている。国防産業戦略(Defence Industrial Strategy)は、成長を促進し、ネットゼロ、地域の成長、経済安全保障と強靭化を支援するという産業戦略の目標達成に貢献する。この意向表明では、国防省がこの新国防産業戦略を策定する際のアプローチとプロセスを概説している。
■ 戦略目標
よりよい、より統合された、より革新的で、より強靭性のある防衛セクガーを成長させる。■ 不可欠な成長
防衛産業の独立した能力を喚起し、英国の調達・イノベーション・研究開発エコシステムを強化することにより、生産性の向上、キーテクノロジーの発展、輸出の増大、地域格差の解消による全体的なGDP成長にいっそう貢献する。■ 国防セクターにおける問題点
▽戦略上の矛盾:我が国の国防投資の重点、世界戦略、経済戦略は一致していない。NATOで指導的役割を果たすことを決意した国には、産業のさらなる強靭化と専門能力が必要である。
▽非効率的な支出:支出する1ポンドごとに、国防力と経済生産力を高める必要がある。過去の調査では、管理ミスや遅延により納税者に数十億ポンドの損失が生じていることが判明している。
▽輸出の落ち込み:2023年のSIPRIデータによると、世界の武器輸出における英国のシェアは2014~2018年と2019~2023年の間に14%減少した。過剰に精巧な設計、限定的な産業基盤、政府横断的な焦点の欠如から脱却し、調達プロセスの最初から全体を通じて輸出を考慮する必要がある。
▽国防に携わる人材:スキル不足を解決することは経済全体の課題であるが、国防においては重大な課題である。Skills England[編集局注:2024年7月に設置された、地域労働者の技能向上を目指す政府系組織]の発足は、こうした課題への取り組みに着手するものであり、国防の労働力に特有の課題を考慮すると、これは特に重要なである。
▽イノベーションの進展速度:前政権は、前回の歳出見直し期間中に国防研究開発に66億ポンドを支出することを公約したが、研究から得られた成果を、我が国の軍隊が展開できる能力に結びつけることは、有意義な形では行われていない。国防省は生み出された知的財産(IP)を利用せずにしばしば放置している。
▽長期的なパートナーシップや仕組みの欠如:国防サプライヤーフォーラム(Defence Suppliers Forum)には労働組合や研究機関の代表が参加していない。研究によれば、セクター別産業戦略を成功させるには、国家、地域、小規模のレベルで活発な仕組みが必要であることが知られている。
▽投資のボトルネック:資金へのアクセスが、中小の国防関連サプライヤにとって問題となる可能性がある。防衛分野に規模拡大の可能性が欠落していることは、多くの初期段階のハイテク投資家にとって障壁となっている。■ 優先課題
国防と高度経済成長に向けた責務の提携を確実にするという新国防産業戦略の目的を達成し、将来に適した防衛部門を実現するために、次の6項目の優先課題を中心に新国防産業戦略を策定する。
①英国ビジネスの優先、②パートナーシップの構築、③確実性と安定性、④将来動向の把握、⑤繁栄の拡大、⑥抑止力 [DW編集局]