[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領科学技術諮問会議(PCAST)
元記事公開日:
2025/01/15
抄訳記事公開日:
2025/01/16

PCAST​​、連邦政府の研究開発投資の重要性を強調

LETTER TO THE PRESIDENT: Future Opportunities for Science and Technology to Impact the Nation

本文:

(2025年1月15日付、大統領科学技術諮問会議(PCAST)の標記発表の概要は以下のとおり)

PCASTの活動
▽PCASTは、大統領の指導の下、産業革新の支援、気候変動の影響緩和、健康状態の改善、人工知能(AI)の活用、国防の強化、科学技術基盤の強化など、未来にとって重要な課題に取り組んできた。例えば、半導体や先進バイオ製造分野の研究開発を改善するための具体的な提言を行い、これらはプロトタイピングハブの設立や目標設定、連携の拡大を通じて実現された。
▽気候変動の課題についても、コミュニティ保護や温室効果ガス排出削減のための予測ツールの改善、全国的な測定・監視の強化などの施策立案に貢献してきた。また、地下水の安全保障を改善するための洞察を提供し、山火事発生時には初期対応者への支援を推奨する報告書を発表した。
▽特に科学技術人材の採用とキャリア開発については、ほぼすべてのPCAST報告書に共通する提言である。また、AIのリスクと機会に関する報告を行い、大統領のAI権利章典やAIの安全で信頼できる使用に関する行政命令を支持している。

今後に向けて
▽健康とウェルビーイング、特に高齢化社会への対策として、老化の科学的理解の深化が重要となる。社会科学の力を活用して孤独の軽減や若年層の自殺防止、コミュニティ間の信頼増進などに取り組む必要がある。
▽AIと組み合わせた自動化技術は研究と発見の加速をもたらす可能性がある。例えば、生物工学を活用することで、医学、化学、燃料、材料などの重要な問題解決に新しい方法が開かれる可能性がある。さらに、核融合を含む原子力エネルギーは気候変動の影響を緩和するために重要である。

連邦政府の研究開発投資の役割
▽未来の成功は連邦政府資金による研究開発にかかっている。インターネットやGPSを備えた携帯電話、がん治療の革新やCOVID-19のmRNAワクチン、気象予測からクリーンな空気と水に至るまで、現代の多くの利便性は過去の連邦政府の投資によって可能となったことからも明らかである。
▽企業の研究開発費の急増は米国の国際競争力の一つの現れであるが、企業の研究開発は継続的な公共投資による補完がなければ繁栄し続けることはできない。さらに、国防、健康、エネルギー、宇宙探索、農業、教育、運輸など、公共目的のための連邦政府の研究開発投資も求められている。
▽大統領の支持の下、史上類を見ない規模の連邦政府の研究開発投資が行われ、例えば2023年には2021年度比で24%の研究開発予算の増加が実現された。医療高等研究計画局(ARPA-H)や国立科学財団の技術・イノベーション・パートナーシップ局(TIP)も創設された。しかしながら、議会は最近の歳出で研究開発に関する大統領予算教書を支持しなかった。これは、米国のウェルビーイングの源泉となる「種」を十分に補充できていないことを意味する。一方、中国は研究開発費の増加を続けており、今年だけで10%増加している。

大統領は就任後最初の週に科学的公正性の重要性を再構築し、がんムーンショットを再活性化させ、気候変動の緩和に取り組み、AIの使用を正しい軌道に乗せた。この4年間、国に貢献し、科学技術に関する問題について助言する機会を与えてくれたことに感謝する。

[DW編集局]