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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ユーリッヒ研究センター(FZJ)
- 元記事公開日:
- 2024/12/02
- 抄訳記事公開日:
- 2025/01/28
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欧州量子コンピューター・インフラの拡充
- 本文:
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(2024年12月2日付、ユーリッヒ研究センター(FZJ)の標記発表の概要は以下のとおり)
FZJのユーリッヒ・スーパーコンピューティング・センター(JSC)は11月中旬にパスカル社が製造した100量子ビットの量子コンピューターの提供を受けた。パスカル社は中性原子をベースとする量子コンピューティング・システムで世界を牽引する企業である。
この新しい量子コンピューターは、欧州ハイパフォーマンス・コンピューティング共同事業(EUROHPC JU)の「スーパーコンピューターと量子シミュレーターのハイブリッド(HPCQS)」プロジェクトの一環として調達されたもので、JSCのスーパーコンピューターJURECA DCと組み合わせて利用される予定である。これにより研究者は、従来のスーパーコンピューターと量子コンピューターから構成されるハイブリッドの計算資源を活用して、複雑な課題に取り組めるようになる。
量子コンピューターの配備はHPCQSプロジェクトの重要なマイルストーンとなる。HPCQSイニシアチブは、量子システムを欧州スーパーコンピューティング・インフラに組み込み、複雑な最適化問題を解くための新たな計算資源の獲得を目標としている。利用が見込まれる分野は、医薬品開発、物流チェーン管理、無線ネットワーク、自動運転車両のスマート充電、商業および金融サービス、サイバーセキュリティなど多岐にわたる。パスカル社の量子コンピューティングユニットはそればかりでなく、物理や化学におけるシミュレーションや量子機械学習にも利用できる。
HPCQSプロジェクトは、EUROHPC JUと欧州6カ国(ドイツ、フランス、アイルランド、イタリア、オーストリア、スペイン)に支援されている。HPCQSは、各々100量子ビット以上の能力を持つ2台のパスカル社製量子コンピューターを、すでに稼働している2台のスーパーコンピューターと統合することを目的としている。1台目の量子コンピューターは、4か月前にフランスのスーパーコンピューティング・センター(GENCI/CEA)に納入され、ジョリオ・キュリー・スーパーコンピューター(Joliot-Curie-Supercomputer)に接続される。EuroHPC JUとドイツ連邦教育研究省(BMBF)が同額を負担する2台目の量子コンピューターが、今回JSCに納入された。
「2台目の量子コンピューターの導入は、量子コンピューターと従来のスーパーコンピューターを組み合わせて使うことにより、画期的なアルゴリズムや活用法を開発できる可能性を、欧州の利用者に提供する重要な1歩であり、極めて喜ばしい。これらの先端技術の可能性から出てくる成果への期待が高まっている。」とEuroHPC JUのイェンセン(Anders Jensen)エグセクティブディレクターは語っている。
[DW編集局]