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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ工学アカデミー(acatech)
- 元記事公開日:
- 2024/12/03
- 抄訳記事公開日:
- 2025/01/28
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科学アカデミーが「ベースロード電源なしでも電力供給は可能」と提言
Wissenschaftsakademien zeigen: Auch ohne Grundlastkraftwerke ist die Stromversorgung gesichert
- 本文:
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(2024年12月3日付、ドイツ工学アカデミー(acatech)、国家科学アカデミー(Leopoldina)、ドイツ科学・人文アカデミー連合による標記共同発表の概要は以下のとおり)
原子力発電所、地熱エネルギー、二酸化炭素回収機能を持つ天然ガス発電所、そして将来的には核融合発電所、これらは二酸化炭素排出の低減に寄与するベースロード発電施設として継続的に電力を供給することができる。これらの発電施設は太陽エネルギーと風力エネルギーが主力となる将来のエネルギーシステムにおいても必要だろうか。
acatech、Leopoldina、ドイツ科学アカデミー連合の共同イニシアチブである「未来のエネルギーシステム(ESYS)」の専門家がこの課題をモデリングにより検討した。その結果、「電力供給を確実にまかなうために、ベースロード電源は必ずしも必要ではないが、もしベースロード電源に経済的競争力があれば、将来、一定の役割を果たす可能性もある。」という結論に達した。
ESYSの専門家は調査において、原子力発電所、天然ガスを利用するガス・蒸気複合発電所、地熱発電所、核融合発電所の4つの技術を精査した。今後20年間で最も現実的な技術は天然ガス発電所であるが、課題は回収された二酸化炭素の貯蔵施設の建設、天然ガスと水素を扱う施設を並行して運用すること、天然ガス採掘と発電に伴う残留排出物を相殺する必要があることである。
これらの技術についてのこれまでのコスト上昇の状況を踏まえ、ESYSの専門家は、ベースロード発電施設がエネルギー供給全体のコストを削減できるとはみなしていない。「ベースロード発電施設が全体のコストの削減をもたらすためには、見込まれるコストを現在の予測水準から大幅に減らす必要がある。ベースロード電源のコスト上昇と遅延のリスクは、太陽エネルギーと風力エネルギーの将来の拡大のリスクよりも高いと考えている。」とifo経済研究所の所長でESYS委員長でもあるピッテル(Dr. Karen Pittel)氏は語っている。
[DW編集局]