[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2025/01/13
抄訳記事公開日:
2025/01/31

臓器チップ技術の標準化に向けたロードマップの策定

Setting out a roadmap for standardisation of organ-on-chip technology

本文:

(2025年1月13日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり)

臓器チップ(OoC: Organ-on-chip)は、バイオテクノロジーとマイクロ流体チップおよびセンサーを統合することで、肺、心臓、肝臓などの人間の臓器の小型バージョンを構築するものである。これらのデバイスには、実際の臓器の機能を再現する生きた人間の細胞が含まれており、研究者は病気が人間の組織にどのような影響を与えるかを研究し、新しい治療法を開発することができる。

OoCは主に新薬の開発に応用されているが、化粧品などの消費財に使用される化学物質の安全性試験でも重要性が高まっている。生物医学研究において、OoCデバイスは、特に動物が人間の生理機能や病気のモデルとして適していない分野において、動物実験を減らしたり、または動物実験に代わる可能性を持つ。

OoCは医療に大きな影響を与える可能性があり、臨床医は各患者の固有の特性に基づいてカスタマイズされた治療法を特定できるようになる(個別化医療)。

現時点では、OoC技術は医薬品開発や臨床診療に完全には組み込まれていない。その実現のためには、デバイスの信頼性と有効性、つまりデバイスが提供するデータが新薬の安全性と有効性を保証するために使用可能なことを保証する基準が必要である。標準化は、この革新的なバイオテクノロジーを中心とした強力な産業エコシステムの育成もサポートする。

JRC(欧州共同研究センター) の専門家らは、OoC領域における標準化のニーズと機会を特定した。また、欧州臓器チップ協会(EUROoCS)およびオランダ王立標準化研究所(NEN)の支援を受けて、専任の「欧州標準化委員会(CEN – 欧州電気標準化委員会(CENELEC)フォーカス・グループ」の創設にも寄与し、積極的に参加している。このフォーカス・グループは、今後の標準化活動に関する主要な提言を含むロードマップを策定し、公開している。

ロードマップでは、OoCデバイスの標準規格を策定するための世界的な取り組みの重要性を強調している。この幅広い合意に達するために、国際標準化機構(ISO)との協力が提案されている。ISOは最近、技術委員会(TC)276 – バイオテクノロジーの下に「微小生理学的システムと臓器チップ」(ISO/TC 276/SC2)に関する新しい小委員会を設立した。

[DW編集局]