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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- フラウンホーファー協会(FhG)
- 元記事公開日:
- 2024/12/12
- 抄訳記事公開日:
- 2025/02/03
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FhGが科学・イノベーション政策にかかわるポジションペーパーを公表
- 本文:
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(2024年12月12日付、フラウンホーファー協会(FhG)の標記発表の概要は以下のとおり)
2025年に行われる連邦議会選挙を見据え、フラウンホーファー協会の専門家たちは「競争要因」をモットーに、ドイツにとって必要とされる科学・イノベーション政策にかかわるテーマについてのポジションペーパーを公表した。フラウンホーファー協会の経営陣の求めによりとりまとめられたこの文書は、現在の政策・経済面での課題を取り上げ、行動が必要な領域を特定し、具体的な政策を提言している。
「変化と世界的な課題に直面している今、経済と社会を強靭なものとし、絶え間なく変革をしていかなければならない。ポジションペーパーは、現在の枠組み条件を改善し、科学的発見の市場への導入をさらに加速させるために、フラウンホーファー協会の視点から政治的な提言を行っている。これが、ドイツの将来のために、政治が科学に基づいた判断をすることに寄与することを願っている。」とフラウンホーファー協会のホルガー・ハンゼルカ教授は語る。
ポジションペーパーの概要は次のとおり。
・イノベーションの拠点
デジタル化、エネルギー転換、安全保障政策、社会の危機対応能力、専門人材の確保というドイツが直面する様々な世界的課題に対応するためには、イノベーションシステム全体を強化することが現下の最大課題である。ドイツの競争力を確保するためには、既存の強みを生かし、知識と技術の移転、協力の強化に重点をおいた技術・イノベーション政策が求められる。・未来のエネルギーシステム
気候中立およびレジリエンスの強化に向けたエネルギーシステムの転換は、イノベーション・産業拠点としてのドイツに大きなチャンスをもたらす。この10年から15年をみるとエネルギーシステムの転換は、既存技術の効率化、消費量の削減が課題となる。重要な対策には、水素、地熱、再生可能エネルギーが含まれる。・循環経済
持続可能なバリューチェーンの開発と天然資源の使用量を減らす循環経済の確立が課題となる。・デジタル産業拠点
データベースとそのためのインフラの強化、5G/6G研究、人工知能にかかわるインフラ、ロボットや産業メタバースのような将来の生産システムが課題となる。・革新的な健康にかかわる研究
健康にかかわる産業はドイツの競争力を高める成長分野である。しかし、人口構成の変化、拡大するコスト、デジタル化の遅れという大きな課題に直面している。・量子技術
量子技術は新たな活用策を提供するが、課題は産業界での活用、標準化、長期的な支援である。・サイバーセキュリティ
この分野では、体系的な専門知識の蓄積、セキュリティテスト技術の強化、オープンソース・トラストアンカ-のような新しいサイバーセキュリティのためのインフラが必要となる。・転換期における防衛研究
この分野におけるイノベーションをより効率的に行うためには、民生用と軍用研究の厳密な分離を再考する必要がある。・航空・宇宙
航空・宇宙は経済面での競争力、国家安全保障、国際的な名声のために決定的に重要である。国際的な協力が求められるし、継続的な技術イノベーション、持続可能なソリューション、強靭性を高めることが必要である。・効率的で持続可能な運輸産業
自動車産業の変革を成功させるためには、ネットでつながる自動化技術、輸送・ロジスティック部門での新たなアプローチ、自動車セクターでの持続可能な生産技術が必要である。・未来の建設・土木産業
世界の二酸化炭素の排出の40%、廃棄物量の60%を占める建設・土木産業は、効率性、持続可能性、強靭性を高めることが不可欠である。そのためには、デジタル化、新しい建築材料、循環経済性への投資も考慮する必要がある。 [DW編集局]