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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 国立科学研究センター(CNRS)
- 元記事公開日:
- 2025/01/14
- 抄訳記事公開日:
- 2025/02/10
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ウエスト=フランス紙、CNRS、レンヌ大学が「AIとメディア」の共同ラボを設立
- 本文:
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(2025年1月14日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は以下のとおり)
西部ブルターニュ地方を拠点とする地方メディア「ウエスト=フランス」紙(Ouest-France)、CNRS、およびレンヌ大学は1月14日、国立研究機構(ANR)の支援を受けて、報道機関と学術研究を結集した初の共同ラボ(LabCom)「シナプス(Synapses)」を立ち上げると発表した。LabCom「シナプス」は、人工知能(AI)、メディア、報道コンテンツ、ジャーナリスト、読者を繋ぎ、コンピュータ科学とメディアの接点でイノベーションを起こし、質の高いジャーナリズムを追及することを目的とする。
数百万点の記事、写真、ビデオを含むメディア資料は、内容、潜在的価値など、いずれも豊富であるが、最新のAIツールを駆使しても容易には生かし切れない。同紙は、ANRの支援を受けてCNRSとレンヌ大学と協力。データ主権を維持しつつ、この膨大な資料の中で引用、撮影、記録される個人の権利を尊重して、様々な技術的障壁を取り除くこととしている。
同紙が出版した著作物は、1899年から現在までに1億0,500万点以上(4,800万の記事、3,800万枚の写真、1,700万ページ、11万6,000本のビデオなど)を擁する独自のコレクションである。これらは様々な時代の互いに異なる分野にわたる他に例をみないテキスト、画像、ビデオ、オーディオを含んでおり、アルゴリズムなしでは分析や活用が困難なものである。
LabCom「シナプス」では、これらの非常に膨大なメディア資料のコレクションの内容を調べる方法、技術、ツールを提案するため、CNRSコンピュータ科学・ランダムシステム研究所(CNRS/レンヌ大学)内のLinkmedia研究チームの ローラン・アムサレグ研究ディレクターが監督を務める。ここではAI、機械学習、コンピュータービジョン、自然言語処理などのあらゆるコンピューターツールを使用する。
ANRが36万3,000ユーロという多額の資金を提供するLabCom「シナプス」は、この研究チームと同紙が30年間にわたって協力し続けてきた成果である。この協力は、ジャーナリストにとってはデータ主権の維持、個人の権利の尊重を確保しつつ、最先端の技術へのアクセスを提供することとなり、科学者にとっては現実世界で自らの研究をテストし、唯一無二のデータにアクセスする機会ともなる。
LabCom「シナプス」は、AIをジャーナリズムに役立てるため次の3つの主要な方向を目指している。
▽写真アーカイブの分析:同社の4,000万点の画像をAIによって分析・検索できるようにし、ジャーナリストや文書係の作業を容易にする。
▽特定文書の処理:言語の変遷がもたらす難しさを乗り越えつつ、歴史的文書を理解し、処理し易くするため、100年以上にわたる資料文書を活用する。
▽複雑な情報の視覚化:複雑で相互に関係するデータを視覚化するツールを開発し、ジャーナリストが情報にアクセスしやすくする。
[DW編集局]