[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2025/01/20
抄訳記事公開日:
2025/02/13

共同ラボ「カメリア」:サフラン・テックと未来の航空機開発へ

Laboratoire commun CAMELIA : vers l’avion du futur avec Safran Tech

本文:

(2025年1月20日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は、以下のとおり)

CNRS、パリ科学人文学大学付属パリ化学技術研究所(Chimie ParisTech-PSL)、サフラン・テック(Safran Tech)は1月20日、航空機用の革新的金属合金を開発するための共同ラボ「カメリア(CAMELIA)」を設立すると発表した。

航空業界はハードルの高い脱炭素化プロセスに取り組んでおり、特に新素材の開発により、保有する航空機の性能を向上させようと努めている。実際、軽量素材を用いた航空機は燃料消費量が少なくてすむが、過酷な環境でも運航できなければならないため、パリ国立化学研究所(IRCP:CNRSとChimie ParisTech – PSLで構成する混成研究ユニット)とサフラン・テックが、5年間の契約によりこの課題に取り組むこととなった。

◇新時代には新素材を

運航中に装置の特定部分、特にエンジン内の材料は、高い機械的ストレスと高温の両方に耐える必要がある。IRCPの構造合金(MS)チームは、低密度と機械的強度を合わせ持つチタン合金を専門としている。

航空業界は、安全性を確保するため様々な規制上の制約を受けているが、これは基礎研究を圧迫する恐れがあり、研究開発者はすでに承認されている合金を使って漸進的な解決策を提案する傾向がある。カメリアプロジェクトでは、合金の数値開発と簡易特性評価による新しい開発方法で航空機の脱炭素化を効果的に加速させることにより、革新的なアイデアや新しいコンセプトを開発する。

このためサフラン・テックとの協力を通じ、産業規模を迅速に達成するために、科学的アプローチを実装例に統合するとともに、オープンで共有されたプラットフォームを設けることにより、産業規模の拡大を加速化する。

◇飛躍的技術を導くデザインラボ

この共同ラボの拠点となるデザインラボは、IRCP施設内にある、完全な実験装置群であり、設計、開発、成形、熱処理、微細構造上および機械的な特性評価まで新素材開発の流れ全体をカバーする特殊な機器が装備されている。

カメリアプロジェクトは、設計を加速するために必要な機械学習手法等の数値計算から実験化学全般まで、幅広い専門知識を包含しており、ツールと知識を1か所にまとめて効率と柔軟性を得ることがデザインラボの課題である。この共同ラボでは一か所に置かれたツールと知識の近接性によってデジタルの流れと実験の流れを組み合わせることが可能になっている。このアジャイルなアプローチが、研究から得られる技術の実装を加速するうえで大きな資産となっている。

◇IRCPとサフラン・テックの間の信頼の歴史

共同ラボ「カメリア」は、未来の技術を開発するためにCNRSとサフラン社研究技術センターとの間で築かれた信頼関係の現れである。

共同ラボ「カメリア」は、この二つの機関の間の長い協力の集大成であり、IRCPのMSチームは、2015年に設立された研究技術センターであるサフラン・テックを含む様々なサフラン社と15年近く協力してきた。この継続的な協力により、チタン合金に関する多数の共同研究プロジェクト、チタンリサイクルプロセスに関する協力、そして共同特許の申請につながっている。

MS研究室で長年にわたり徐々に拡大してきた一連の実験装置群が、共同ラボという形で完成したといえる。サフラン社から出向された研究者、オープンラボ契約による同社の技術者を含めパートナーのチームは この技術プラットフォーム上で協力している。

[DW編集局]