[本文]
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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 高等教育・研究省(MESR)
- 元記事公開日:
- 2025/02/17
- 抄訳記事公開日:
- 2025/03/21
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精神医学を変革する研究プログラム「PROPSY」(連載、全2回中の1回目)
PROPSY, le programme de recherche qui va transformer la psychiatrie
- 本文:
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(2025年2月17日付、高等教育・研究省(MESR)の標記記事の概要は、以下のとおり)
「PROPSY」は、最も重い障害である4種類の精神疾患に焦点を当てたプログラムであり、精密精神医学に基づき、政府の投融資計画「フランス2030」からの資金提供により、診断と患者のケアに革命をもたらすものである。
「フランス2030」により推進される国策研究「優先研究プログラム」(PEPR)のうち、新規領域を開拓するプログラムの一つである「PROPSY」は、フォンダマンタル財団(Fondation FondaMental)事務局長であるマリオン・ルボワエ教授(精神医学)が科学ディレクターとしてコーディネートする。「フランス2030」により7年間で8,000万ユーロの資金が提供される。2022年に立ち上げられたこのプログラムは意欲的な目標を掲げ、同財団が支援し、 国立保健医学研究所(INSERM)および国立科学研究センター(CNRS)が主導する。
精密精神医学の目標は、適切な患者に適切なタイミングで適切な治療法を見いだすことである。
フォンダマンタル財団は2007年にMESRにより設立され、メンタルヘルスの研究とイノベーションを支援している。「早期診断、治療、予後の改善」、「精神医学の研究とイノベーションの促進」、「知識の普及」および「偏見の打破」という優先4事項を中心にチームを動かしている。
■公衆衛生上の重大問題
◇懸念される状況への対応
メンタルヘルスは一般市民や公的機関にとって大きな関心事であり、そのため特に若者や学生を対象とした幅広い心理学的支援サービスが展開されている。
病気に苦しむ人々への支援、病気の予防と治療を向上させるための最先端の研究、そして公的機関全体による啓発活動を通じて、すべての人が自らのメンタルヘルスに向き合い、意識を高めるためのより大きなリソースが必要とされている。
このため2025年、政府はメンタルヘルスを国家的命題とすることを決定した。
◇精神医学における現状
精神疾患は慢性的で頻度が高く、若い頃に発症し、10大障害要因のうちの5要因を占めている。身体合併症や自殺のリスクによって患者の平均余命は15年から20年短くなる。
欧州連合(EU)では、人口の27%にあたる8,000万人が罹患している。フランスの損失は1,600億ユーロと見積もられており、精神疾患は21世紀の主要な課題と認識されている。
2021年から2022年にかけて、10歳から24歳の少女の自傷行為による入院率は、10歳から14歳で+71%、15歳から19歳で+44%、20歳から24歳で+21%と、前例のないペースで上昇している。
精神科における入院率ではさらに大きな増加が見られ、10歳から14歳で+246%、15歳から19歳で+163%、20歳から24歳で+106%である。
(つづく)
(続きは、2025年3月24日に公開予定です)
[DW編集局]