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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 国立科学研究センター(CNRS)
- 元記事公開日:
- 2025/03/06
- 抄訳記事公開日:
- 2025/03/24
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CNRSが米研究者との「連帯」表明 「学問の自由が試練に」
- 本文:
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フランス国立科学研究センター(CNRS)は6日、米国で「学問の自由が試練にさらされている」として、米国で活動する研究者らとの「連帯を表明する」との声明を発表した。
声明は3段落の比較的短いものであるが、米国の研究開発を取り巻く状況に危機感を示すとともに、学問の自由や国際的な研究協力の重要性を改めて訴えている。全文の和訳は以下のとおり。
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「CNRSは、米国で活動する科学者らとの連帯を表明する。米国ではいま、学問の自由が試練にさらされているためである。CNRSは米国の多くのパートナーとのつながりを保っており、彼らを支え、彼らとともにこの難局を乗り切りたい。
学問の自由を守るため、CNRSはいま一度、変わることのない取り組みを確認する。科学が独立を守ること。そして公的基礎研究を自由に行えるようにすること。これらは知を社会に役立てるうえで、最も重要な原則である。
科学に国境はない。そして国際間の協力関係は守られ、かつ推奨されなければならない。現下の世界情勢にかんがみると、われわれの社会が直面する危機に立ち向かうには、科学はこれまでになく不可欠な存在である」
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<DW編集局からおことわり>
CNRSは、この「試練」や「難局」が具体的に何を指すのかについては一切触れていませんが、多様性、公平性、包括性(いわゆるDEI)の尊重に否定的な姿勢を示すトランプ政権を念頭に置いているとみられます。現地報道によると、CNRSを所管する高等教育・研究省(MESR)のフィリップ・バティスト高等教育・研究特命担当大臣は、国内のファンディング機関や公的研究機関のトップらに宛てた7日付の書簡のなかで「米国政府はあらゆる局面で研究資金を削り、重要データの自由な利用を制限し、大規模な国際プログラムも終了させると脅しをかけている。いま著名な研究者が多数、米国で研究を続けることに疑問を感じている。こうした動きはさらに強まるだろう」と米国を名指しするとともに、「こうした研究者を当然わが国は受け入れたい」などと述べています。(フランス担当フェロー・内田遼)
[DW編集局]