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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 米国科学振興協会(AAAS)
- 元記事公開日:
- 2025/02/14
- 抄訳記事公開日:
- 2025/03/25
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AAASと王立協会が科学外交に関する報告書を発表
Science Diplomacy in an Era of Disruption: A 2025 Report by the Royal Society and AAAS
- 本文:
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(2025年2月14日付、米国科学振興協会(AAAS)の標記発表の概要は以下のとおり)
AAASと英国の王立協会(Royal Society)は、科学外交の枠組みである「混乱の時代の科学外交」を発表した。この枠組みは、経済競争の激化、人工知能などの急速な技術進歩、そして巨大テック企業を含む非国家主体の台頭など、今日の科学外交が直面している新たな課題に対処するものであり、以下の特徴を持つ。
▽科学外交は国家や組織の外交目標を達成する上でのツールであり、それは肯定的にも否定的にも捉えられることを強調する
▽産業界が科学外交にどのようにビジネス上の利益のために利用しているかなど、主要なプレーヤーの幅広い状況を掘り下げる
▽科学協力における安全保障上のリスク認識と、科学者や外交官の役割と目的の明確化について強調する
▽科学が外交に与える影響および外交が科学に与える影響という2つの側面を持つ、理論的枠組みから実践的枠組みへと移行する本報告書は、高官同士の対話、国際科学会議、出版物などの1年以上にわたるエビデンス収集に基づいている。王立協会とAAASは2010年に「科学外交の最前線」を出版し、国際科学界を通じて科学外交の概念を広めた。注目度の高い会議や研修プログラムでは、この概念が中心に据えられ、多くの国が科学外交を国家戦略として採用してきた。
しかし、その概念的枠組みは、それが出版された時代にますます縛られているように感じられる。現在、科学の進歩は政府の規制を上回り、権力は世界中の主要な科学国家に広く分散し、伝統的な外交の考え方は超国家的企業による独自の運営とともに進化し、開放性と安全保障のバランスがより不安定となり、世界の紛争が科学外交の役割に疑問を投げかけている。より混乱の時代に生きる我々は、科学外交をどのように利用できるかについて、これまで以上の理解が求められる。
[DW編集局]