[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2025/02/20
抄訳記事公開日:
2025/03/27

NASEM、海洋科学の今後10年間の見通しに関する報告書を発表

New Report Provides Forecast for the Next Decade of Ocean Science

本文:

(2025年2月20日付、全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)

NASEMの新報告書は、海洋科学の中核研究と、海洋研究の基礎・応用研究をサポートするインフラのアップグレードと交換に大規模な投資が必要であると述べている。北極圏へのアクセス拡大が米国の安全保障にどのような課題をもたらすのか、生態系の変化が漁業にどのように影響するのか、海洋が異常気象にどのように寄与しているかを理解する上で、研究が必要である。同報告書は、海洋研究における米国のリーダーシップを活性化させる方法について、国立科学財団(NSF)に助言を提供するものである。

同報告書は、AIや機械学習を用いた統合的アプローチ、既存の水中インフラの活用、新しいリソースの獲得、および連邦や州の機関・産業界・学界・利害関係者間の戦略的パートナーシップの構築を求めており、以下の3テーマを掲げる。

1. 海洋と気候:
海洋は、温室効果ガスから生じる熱の90%と炭素の約30%を吸収しており、それらの低下は、大気温度と二酸化炭素レベルの上昇を加速し、ハリケーンの発達などに影響を及ぼす。研究課題は、熱輸送の観測方式開発、氷床の不安定性予測、炭素循環における変動性の定量化である。
2. 生態系の回復力:
地球と海洋システムの根本的変化は、生態系を変化させ、それらに依存する地域に悪影響をもたらす。研究課題は、温暖化・酸性化・脱酸素化が海洋生態系に及ぼす影響の解明、種の多様性を測定する方法の開発である。
3. 異常気象:
地震、津波、ハリケーン、高潮、洪水などは沿岸地域に直接影響を与え、降水量や熱波の増加は沿岸・内陸両地域に影響を及ぼす。研究課題は、地質災害早期警戒システムの改善、世界の異常気象を予測する能力の向上、そしてこれらの予測を都市計画・農業・林業に役立てることである。

[DW編集局]