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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 高等教育・研究省(MESR)
- 元記事公開日:
- 2025/02/26
- 抄訳記事公開日:
- 2025/04/02
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希少疾患:フランスにおける研究の課題と展望
Maladies rares : enjeux et perspectives pour la recherche en France
- 本文:
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(2025年2月26日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は、以下のとおり)
2025年2月25日、第4次希少疾患国家計画(4e Plan national maladies rares:PNMR4)が発表された。希少疾患は、欧州で約2,500万人、フランスで300万人以上が罹患している。この分野のパイオニアであるフランスは、欧州で初めて国家計画を実施した国であり、この分野で研究と訓練を組織化したことが国際的に認知されている。
◇希少疾患の現状
2,000人に1人が罹患している場合、その病気は「希少」と言われ、分かっているだけで希少疾患の数は7,000に上る。効果的な治療の恩恵を受けられない、まれな病状を指すために「孤児の疾患(maladie orpheline)」とも言われる。
フランスの希少疾患患者は、それぞれ疾病ごとでは3万人に満たない。フランスの人口全体では4.5%に相当する300万人が罹患し、その80%が遺伝性疾患である。
毎年2月28日は「希少疾患の日」とされ、世界中の3億人の希少疾患を抱える人々、家族、介護者のために意識を高め、変化をもたらすことを目指している。
◇希少疾患に特化したこれまでの公共政策の経過
1995年に希少疾患が公衆衛生上の懸念事項となり、2001年以来、希少疾患プラットフォームが主要な非政府関係機関をまとめていった。03年には政府が「希少疾患国家計画(PNMR)」を開始した。04年以降4次にわたる国家計画によって23の希少疾患保健ネットワークが設立・認定され、23年には122の希少疾患レファレンス・センター(CRMR)が認定された。これは1,708の希少疾患専門センター(CCMR)によって支えられており、患者の近くで包括的なケアとモニタリングを提供する。
◇第4次PNMR
第3次PNMRの55のアクションは、患者に対するより迅速な診断の提供、プロジェクト公募によって生活の質と経過を改善するイノベーション、共創的アプローチによる知識と治療へのアクセスの向上を目指していた。
2023年春に開始された第4次PNMR(2025年-2030年)では、ギヨーム・カノー教授とアニエス・ラングラール教授によって調整されている。CRMRは取り組みを継続。新たに132(28%増)のCRMRが認定される。
第4次PNMRは、4種類の軸に従って26の目標を設定しており、治療、研究、産業の間の相乗効果を強化することとし、地域ネットワークを通じた治療経過の改善、早期発見と医療専門家および患者自身の訓練、新規治療法の開発による治療イノベーションの促進(既存薬を転用して新たな疾患の治療薬として開発する既存薬再開発(ドラッグリポジショニング)のリスク軽減を含む)、より適切な健康データの収集等を目指している。
◇全国希少疾患データベース(BNDMR)
このデータベースでは、希少疾患患者すべての匿名化された医療データを国家レベルで収集するため安全な仕組みを構築している。データはCRMRやCCMRから収集される。目的は、患者と疾病の記録、医療ネットワークの適切な組織化、国内大規模データベースの有効活用、より効果的な知識の生産、研究の促進である。今後、診断や研究をより効果的に進めるためには、BNDMRと、治療から得られる臨床データや「フランスゲノム医療計画2025」で得られるゲノムデータとの関連付けが必要となる。
[DW編集局]