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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
- 元記事公開日:
- 2025/03/14
- 抄訳記事公開日:
- 2025/04/14
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「AIツールが米国のバイオセキュリティを強化」アカデミーが報告書を公表
- 本文:
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(2025年3月14日付、全米科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine: NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)
NASEMは、AIが有害な生物兵器の開発に悪用されるリスクを最小限に抑えながら、バイオテクノロジーにおけるAIの恩恵を享受する方法について報告した。AIを活用した生物学的ツールは、健康上の脅威に対する予防・治療・軽減のための医療対策の設計に有用であるものの、パンデミックを引き起こす可能性のある生物兵器の設計や既存ウイルス・細菌の毒性や伝染性を高めるための改変など、有害な用途に悪用される可能性を備えている。
報告書では、AIが生物学的ツールの適用により利益やリスクをどの程度まで大きくできるかについて評価している。現行のAIを活用した生物学的ツールでは、完全な新規ウイルスの設計はできず、流行性またはパンデミック性を有する感染性病原体の改変には限界がある。しかし、AI技術の急速な進歩を勘案するならば、リスクを有する可能性のあるデータセットや関連するAI機能の開発の監視が必要となる。また、AIモデルの養成にはデータが重要であることから、データ出所の確保に重点を置いた戦略的なデータセットの収集が求められる。AIを支える国家的なデータ資源やインフラの構築は研究上の優先事項である。
報告書は、毒素など生物学的分子の設計、既存病原体の毒性を高める改変、新規ウイルスの設計といった有害な用途に、AIツールを利用可能性を評価している。また、AIツールが予測・検出・予防・対応を強化することでバイオセキュリティを向上できると強調するとともに、バイオサーベイランスの改善と医療対策の開発を促進するための投資を推奨している。また、国防総省(DOD)、保健福祉省(HHS)、エネルギー省(DOE)など連邦機関に対して、AIの進歩を推進し潜在的なリスクを監視するために、研究、データインフラ、高性能コンピューティングへの投資を継続するよう求めている。
[DW編集局]