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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 原子力・代替エネルギー庁(CEA)
- 元記事公開日:
- 2025/03/06
- 抄訳記事公開日:
- 2025/04/15
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CEAがハイリスク研究プロジェクトを発表
- 本文:
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(2025年3月6日付、原子力・代替エネルギー庁(CEA)の標記発表の概要は、以下のとおり)
CEAは3月6日、パリの科学産業都市(Cité des Sciences et de l’Industrie)で、CEAが取り組むハイリスク研究プログラム「オーダス(Audace)」を発表した。そのプロジェクトは、CO2変換に対する生物からのインスピレーション、人口知能(AI)システムによる脳の「解読」、アト秒科学と量子もつれの融合などである。
国の要請により実施され、政府の投融資計画「フランス2030」から4,000万ユーロという多額の資金提供を受けるCEAのハイリスク研究プログラムである「オーダス」は、CEAのすべての研究分野と、全国の80以上の学術パートナーを動員し、中間評価を設けつつ4年にわたって資金提供される10の構造化プロジェクトと46の試行的な活動を中心に構成され、実施されている。
新しい科学的概念を引き出すこと、または技術的な障壁を克服することが課題であり、結果を社会的に応用したり、義務的に求めたりすることではない。
「オーダス」は国立の研究5機関が主導するハイリスク研究プログラムの一つであり、首相府投資総務庁(SGPI)が資金提供し、国立研究機構(ANR)がフォローしている。
CEAは、パリ・サクレー大学とグルノーブル・アルプ大学の2機関とともに、このプログラムを主導している。
■構造化プロジェクトの例
▽CO2をリサイクルする「エア・キャプチャー・プロジェクト」
生物からインスピレーションを得て、大気中のCO2を回収し、燃料や炭素系の化学物質に変換することで、大気中の温室効果ガスをリサイクルし、化石燃料の使用を減らすことで、効果的かつ経済的に実行可能なソリューションを提供する。▽脳の再学習を助ける「ブレイン・シンク(Brain Sync)プロジェクト」
脳の学習と意思決定のメカニズムを理解し、革新的なAIと神経補綴物を使用して脳卒中患者のリハビリテーションプロトコルを設計する。▽物質の量子的性質を探る「アト秒のもつれ」
電子運動の自然スケールであるアト秒(10-18 秒)で原子、分子、凝集体の量子状態とダイナミクスをリアルタイムに研究・制御する。■3つのシーズプログラムの例
▽「メモリ」:希土類ドープ結晶と超伝導回路を用いた量子メモリ支援量子コンピューティング、
量子メモリが有する特定の特性(長寿命、マルチモード)を活かし、量子メモリと組み合わせた小型プロセッサの実現可能性を研究し、大規模なアルゴリズムを実行する。▽より安全なベクター化体内放射線治療のための「インビボ化学」
ベクター化体内放射線治療(RIV)の副作用を軽減し、健康な組織を保護しながら病理組織に対する線量を最適化するため、腫瘍以外の部位に対する被爆を抑えるクリアランス剤(分子ハサミ)を開発する。▽分光法と大規模生成言語モデル(LLM)に基づく材料の「リバース設計」
トランスフォーマー型のモデルを使用した、材料のリバース設計における理論的なハイスループット法の進歩を目的として、振動スペクトルを入力として受け取り、対応する分子構造を出力として生成できるモデルを開発する。 [DW編集局]