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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2025/04/01
- 抄訳記事公開日:
- 2025/04/15
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欧州委員会が発表した新たなEU域内安全保障戦略「ProtectEU」に、JRCの報告書が貢献
How will emerging technologies reshape EU internal security?
- 本文:
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(2025年4月1日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり)
欧州委員会は2025年4月1日、安全保障上の脅威を防止、検知、効果的に対処するため、新たなEU域内安全保障戦略「ProtectEU」を発表した。
安全保障と地政学におけるパワーバランスを再構築する上で、新興技術の果たす役割はますます重要になっている。しかし、技術は本来良いものでも悪いものでもなく、影響は使い方次第である。今日、人工知能や量子コンピューティングなどの新技術は、かつてないスピードで発展している。これらの非常に強力な新技術は、犯罪の検知やセキュリティの向上に役立つと同時に、新たな形の犯罪や不正利用を可能にする。
EU域内の安全保障に対する新たなリスクと機会に関して共同研究センター(JRC)が2025年2月に発表した報告書「新技術がEU域内の安全保障にもたらす新たなリスクと機会(Emerging risks and opportunities for EU internal security stemming from new technologies)」は、EUの政策立案者、法執行機関、業界関係者によるこれらの複雑な課題への対処に資するものである。
■ 新興技術がもたらす課題
JRCによる上記報告書では、EU域内安全保障に最も大きな影響を及ぼすと予想される技術を調査し、それらがもたらす戦略的機会と潜在的脅威を次のように予測している。
・セキュリティと犯罪防止における人工知能(AI)
AIを活用したツールは、脅威の検知、データ分析の自動化、プレディクティブ・ポリシング(予測警備)の強化に役立つ。しかし、犯罪者もまた、悪意のあるディープフェイクの生成、自動化されたサイバー攻撃、身元詐称など、様々な方法でAIを活用している。・ドローン:法執行と犯罪の新たなフロンティア
ドローンは監視、緊急対応、国境監視にますます利用されるようになっている一方で、麻薬の密輸、違法な監視、航空交通の妨害にも悪用されている。・量子コンピューティングとサイバーセキュリティの未来
量子コンピューティングは暗号化と通信の安全確保に革命を起こす可能性を秘めている一方で、現在の暗号保護を破る可能性もあり、政府、金融、セキュリティシステムに重大な脅威をもたらす。・ブロックチェーンとデジタル・アイデンティティ
ブロックチェーンのような分散型技術はデジタル取引のセキュリティを向上させるが、犯罪者が匿名で活動することを可能にするため、マネーロンダリングや違法な金融活動を助長することにもなる。■ 新興技術がもたらすリスクの軽減策
EUの協調的な施策により、重要な実現技術(enabling technology)のメリットを最大化するとともに、そのリスクを軽減することができる。JRCの上記報告書では、この複雑な状況をナビゲートする、次のような重要政策提言を概説している。
・フォーサイトとリスク監視の強化
・AI・デジタル規制の強化
・官民連携の改善
・強靭なサイバーセキュリティ・インフラへの投資 [DW編集局]