[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相府投資総務庁
元記事公開日:
2025/04/10
抄訳記事公開日:
2025/04/17

政府「フランス2030」中間報告を公表 開始3年で「380億ユーロ投資」

France 2030 : Innover pour une France résiliente et souveraine

本文:

 政府は10日、開始から3年が経過した投融資計画「フランス2030」の中間報告を取りまとめて公表した。それによると、2024年末までに380億ユーロが投じられ、電気自動車の年間64万台生産や47種類のバイオ薬品製造などを達成したとしている。

 「フランス2030」は国策上重要な研究開発プロジェクトを選んで重点投資する政府の計画で、首相府投資総務庁が所管。一般会計に専用の予算枠を持ち、2022~26年の5年間に540億ユーロを投融資する総合計画である。一部は国に加えて地域圏政府の資金も投じられるが、▽2035年までの小型モジュール原子炉を実用化する、▽脱炭素水素製造のリーダー国になる、▽2030年までに電気自動車やハイブリッド自動車を200万台生産する――などの「10大目標」を掲げているほか、▽重要原材料へのアクセス確保する、▽エレクトロニクスやロボティクスなどの戦略的部品へのアクセス確保する――などの「6大条件」も示している。

 今回の中間報告によると、総額540億ユーロのうち、昨年末までにすでに380億ユーロが投じられ、▽開始済みのプロジェクト7,457件(うち983件は地域圏政府との契約)、▽補助対象法人7,002件、▽特許申請6,103件、▽対象プロジェクトによる動員者数19万6,824人――などの成果を上げたとしている(いずれも2024年12月31日現在)。

 各分野・領域の成果としては、▽電気自動車を毎年64万台生産、▽0.414ギガワットの電気分解を実現するとともに0.205ギガワットの電気分解が進行中、▽製造業においては二酸化炭素排出を年間720万トン削減、▽現在進行中のプロジェクトにより、国全体で年間1,800万トンの二酸化炭素の排出を削減、▽47種類のバイオ薬品を生産、▽人工知能(AI)の研究開発プロジェクトに34億ユーロを投資、▽小型衛星を4機開発、▽技術確信に伴う10万人分の新しい専門教育枠を実現――などの成果が上がったとしている(いずれも2024年12月31日現在)。

 また政府は、2025年に入ってからも新たに250件のプロジェクト、金額にして150億ユーロの投資を「フランス2030」の枠内で始めることを決めているとしており、主な対象として、医療(特に感染症対策やバイオものづくりなど)、航空・宇宙(特に小型衛星など)、デジタル主権確保の技術(特に量子計算やサイバーセキュリティなど)を挙げている。

 バイルー首相は「地政学的なリスクや財政難、政治不安などがあったにもかかわらず、フランス2030の趣旨は保たれており、実態のある成果を全国各地で生み出している。イノベーションは今後もわれわれのが最も注力すべき対象であり、トッププライオリティの一つだ」などとコメントしている。

[DW編集局]