[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2025/03/19
抄訳記事公開日:
2025/04/18

欧州委員会、「鉄鋼・金属行動計画」を発表

Commission's Action Plan to secure a competitive and decarbonised steel and metals industry in Europe

本文:

(2025年3月19日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり)

欧州委員会は2025年3月19日、欧州の鉄鋼・金属セクターにおける産業能力の維持・拡大に向けて「鉄鋼・金属行動計画(European Steel and Metals Action Plan)」は、このセクターの競争力を強化し、業界の将来を守ることを目的としている。

欧州委員会は、この行動計画を通じて、これらのセクターが現在直面している短期から中期の課題に対処できるよう支援する。この行動計画は、2025年3月4日に開催された鉄鋼対話(Steel Dialogue)を含む、複数の議論と利害関係者の関与を伴う包括的かつ協調的なプロセスの結果である。行動計画の概略は以下のとおり。

▽鉄鋼・金属セクター向けに手頃で安全なエネルギー供給を確保する
行動計画では、電力購入契約(PPA)の利用を促進し、エネルギー税(Energy tax)の柔軟性とネットワーク料金の引き下げを活用して電力価格の変動を緩和するよう加盟国に奨励する。この計画では、エネルギー集約型産業の送電網アクセスの迅速化を促進し、鉄鋼・金属セクターにおける再生可能な低炭素水素の利用拡大を支援する。

▽炭素リーケージを防ぐ
欧州委員会は炭素国境調整メカニズム(CBAM)の見直しを行い、2025年末までに、CBAMの適用範囲を特定の鉄鋼およびアルミニウムをベースとする川下製品に拡大する最初の立法案を提出する予定である。

▽欧州の産業力を拡大させ保護する
現行の保護措置が2026年半ばに失効した後もEUの鉄鋼セクターに対する非常に効果的な保護を維持するべく、欧州委員会は2025年末までに新たな長期的措置を提案する。

▽循環を促進する
欧州委員会は、重要セクターにおける鉄鋼とアルミニウムのリサイクル目標の設定と、より多くの製品にリサイクルやリサイクル資源使用の要件を設けるべきかの評価を計画している。

▽脱炭素化におけるデリスキリング
今後予定されている「産業脱炭素化促進法(Industrial Decarbonisation Accelerator Act)」は、EUで生産される低炭素金属の需要を促進するため、公共調達において欧州製品の強靭性と持続可能性の基準を導入する。

欧州委員会は、2026年から27年にかけて、石炭・鉄鋼研究基金(Research Fund for Coal and Steel)を通じて1億5,000万ユーロを割り当て、さらにHorizon Europeを通じて6億ユーロをクリーン産業ディール(Clean Industrial Deal)に充てる。
欧州委員会は、イノベーション基金などを活用し、産業脱炭素化銀行(Industrial Decarbonisation Bank)を通じて1,000億ユーロを目標に掲げ、主要な産業プロセスの脱炭素化と電化に焦点を当てた10億ユーロの試験的なオークションを2025年に実施する。

▽質の高い雇用を守る
クリーン産業ディールの一部である欧州公正移行観測所(European Fair Transition Observatory)と質の高い雇用ロードマップ(Quality Jobs Roadmap)は、雇用への影響を総括し、労働者の権利が確実に保護されるようにする。

[DW編集局]