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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ工学アカデミー(acatech)
- 元記事公開日:
- 2025/04/08
- 抄訳記事公開日:
- 2025/05/09
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モビリティ・モニター2025調査:ドイツ国民、インフラ投資とEV普及に関心
- 本文:
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(2025年4月8日付、ドイツ工学アカデミー(acatech)の標記発表の概要は以下のとおり)
acatechは「モビリティ・モニター2025」の調査結果を公表した。調査によると、ドイツ国内の交通インフラに対する国民の不満が高まっており、新連邦政府で改善が進むことへ期待が寄せられている。3分の2以上の人は、これに伴う国家債務の増大を容認している。調査では、交通網の近代化から行政機関の改革、さらにはデジタル化に至るまで、10分野の近代化の重要性が指摘された。電気自動車(EV)への関心は高まっており、4分の1の人々がEVの購入を検討していることが明らかになった。
交通インフラの多くは批判を受けている。71%が鉄道網を「悪い」または「非常に悪い」と評価している。教育、デジタル基盤、市町村の道路、そして健康関係施策についても、否定的な評価が多数を占めている。唯一、高速道路は比較的良好な評価を受けており、39%が「良い」または「非常に良い」と評価している。近年の交通インフラへの投資状況を肯定的に評価したのはわずか6%で、81%は「投資が不十分だ」と答えている。
新連邦政府に対する期待は明確である。74%が鉄道網の再建と拡充を、57%が道路網の改善を求めている。市民の4分の3は、官僚主義の撤廃と許認可手続きの迅速化が行われなければ、交通インフラの改革は進まないと考えている。交通インフラの近代化のためには債務の増加が避けられないと考える市民が3分の2以上を占めており、65%は政府の債務増加を支持、57%は、交通インフラへの投資に関して、債務ブレーキ(ドイツでは憲法で政府債務の上限を定めている)を見直すべきだと考えている。
モビリティ・モニターはドイツ人の移動形態が長期間にわたり安定していることを示している。73%は毎日、または週に何度も自動車を使用しており、自動車を所有している77%は運転をやめることを考えていない。しかし、EVに対する関心には変化がみられる。2021年以降、EVに乗り換えることを検討する人が6%増加し、現在は23%に達している。長年変わらなかった懸念点への反応も改善しており、例えば高価格について「高すぎる」と感じる人は前年の77%から70%に、走行距離に関する疑念は60%から55%に、環境面での懸念も59%から50%に、充電インフラへの不満は57%から48%に減少している。
国際的な危機、経済の停滞、そして多大な投資需要は部分的に気候変動問題を後退させている。気候変動の影響を直接的に感じていると答えた人は、過去2年間で45%から36%に減少した。依然として過半数の人々は、交通分野が気候保護に貢献できると考えているものの、「大きな貢献ができる」と考えている人は26%に留まっている。この点で、市民が最も期待しているのは、公共交通機関の整備、代替燃料の導入、そして低排出ガス駆動システムの普及である。55%は、技術革新を気候保護のための主要な駆動力だと考えている。
本調査はacatechの委託によりアレンスバッハ世論調査研究所が実施したもので、2025年3月に16歳以上の人口を代表する1,031人を対象に個別インタビュー方式で行われた。
[DW編集局]