[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2025/04/14
抄訳記事公開日:
2025/05/13

科学技術政策局長、米国の科学技術と産業の再興に向けた優先事項を概説

Remarks by Director Kratsios at the Endless Frontiers Retreat

本文:

(2025年4月14日付、大統領府の標記発表の概要は以下のとおり)

大統領府科学技術政策局(OSTP)のマイケル・クラチオス(Michael J.K. Kratsios)局長は4月14日、テキサス州オースティンで開催された「エンドレス・フロンティアズ・リトリート(Endless Frontiers Retreat)」において講演し、米国の科学技術力と産業競争力の再興を強く訴えた。停滞と規制の時代を乗り越え、国家の繁栄を支えるイノベーションと建設の精神を再び高揚させるべきであり、対外的な技術的優位を維持するためには、知的財産の保護、インフラとサプライチェーンの安全保障、そして厳格な輸出管理が不可欠であると強調した。

講演の主旨は以下の通り。

米国の新たな黄金時代の到来には、科学と産業の再活性化が不可欠であり、過去の停滞を乗り越え、開拓者精神を持って未来を切り拓くことが求められている。進歩への希望は、政治への無関心を許さず、むしろ積極的な参加を通じて実現されるべきであり、この黄金時代は、私たちがそれを選び取る意思によってのみ可能である。

技術進歩と科学的発見は決して運命づけられたものではなく、秩序と真実を尊重する選択と不断の努力によって始めて達成される。20世紀において米国は、原子力の時代、宇宙開発、インターネットの創出を通じて、かつてない中産階級の繁栄を築いた。今日、私たちはその遺産を回復し、単なる防衛にとどまらず、米国の技術的リーダーシップを積極的に推進する責任を負っている。

かつて急速な変革を遂げた米国は、やがて停滞へと移行した。50年前、米国は安価なエネルギーの未来を夢見て原子力発電所の建設を推進し、アポロ17号の月面探査やX-15の速度記録といった偉業を成し遂げたが、今日ではエネルギー価格の高騰、医療費の増加、平均寿命の低迷、航空技術の停滞といった課題に直面している。

この停滞は不可避の結果ではなく、1970年代以降の規制によって建設者やイノベーターの力が制約され、エネルギー輸出国への道を閉ざすとともに、社会のビジョンと焦点を失わせたことに起因する。しかし、私たちは、技術の力をもって時間と空間を自在に操り、生産性を飛躍的に高める新たな可能性を手にしている。従来型の労働に依存するのではなく、未来を自らの手で切り拓くべき時が到来したのである。

米国の技術的リーダーシップを確保するためには、第一に、政府が公的研究開発資金を戦略的に配分し、第二に、イノベーションを促進する合理的な規制環境を整備し、第三に、米国発の技術を積極的に採用・輸出する政策を推進することが必要である。バイデン政権は破壊的な技術イノベーションが権力に及ぼす影響を恐れ、公平性の名の下に社会的分断を助長したが、今こそ規制を見直し、新たな技術の実用化を支援することによって、米国の競争力を再び高め、世界における技術的リーダーシップを確立すべき時である。

特に、中国との技術競争を見据え、米国の技術的リーダーシップを堅持するためには、三つの柱が重要である。すなわち、第一に、知的財産の保護と研究セキュリティの確保、第二に、競争国によるインフラやサプライチェーンへの侵入防止、第三に、最先端技術に対する厳格な輸出管理の実施である。機微なデータへのアクセス制限と監視強化、米国内製造業の活性化のための投資インセンティブ創出などが、今後ますます求められる。

米国のイノベーションの黄金時代は、私たちの選択と努力によって手にすることができる。変化する技術環境に適応しつつ、米国の生活様式を守り、経済を安定させ、中産階級を再興させるためには、政治から距離を置くことなく、全ての国民が力を結集し、先人から受け継いだ自由の恩恵を次世代へと継承する責務を果たさねばならない。

[DW編集局]