[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
科学・イノベーション・技術省(DSIT)
元記事公開日:
2025/04/14
抄訳記事公開日:
2025/05/16

英国政府、民間セクターによる研究開発投資拡大に向けた政策の国際調査結果を公表

Private Sector R&D Investment Policies

本文:

(2025年4月14日付、科学・イノベーション・技術省(DSIT)の標記発表の概要は以下のとおり)

DSITは、民間セクターによる研究開発(R&D)投資の拡大に資する優良な政策の把握を目的として、OECD加盟国の一部における政策事例を短期間で調査・分析し、その結果を公表した。

◼️ 民間セクターにおけるR&D投資を促進するための政策は、企業が直面する以下4つの主要な障壁を克服できるように支援することが求められる。
▽低い専有可能性:
企業がR&D投資によって創出した知識は、他社によって容易に模倣・転用される可能性がある。
▽規模の壁:
商業化に際し、スケールを拡大して技術の信頼性を証明するには、実証プロジェクトへの多額の投資が必要になる。
▽革新性:
既存技術の漸進的改善のほうが、急進的な技術イノベーションよりも、投資家からの資金を得やすい。
▽リターンの不確実性:
成果が予測しにくいため、企業の投資インセンティブが抑制される。

◼️ R&D支援には、直接的・間接的の双方からのインセンティブが必要である。
R&Dへの取り組みを直接的に後押しする「需要喚起型(デマンド・プル)」政策には、R&D補助金、税額控除、公共調達など、市場規模の拡大を狙った措置が含まれる。一方、間接的に支援する「技術推進型(テクノロジー・プッシュ)」政策は、公立大学への研究資金の提供や知識ネットワークの支援などを通じて、新たな知識の獲得を後押しする手法である。

◼️ 公的資金によるR&Dは、民間のR&D投資を促進する。
総じて、公的R&Dは民間セクターの研究活動を補完する役割を果たすが、代替効果によって一部の民間R&Dを抑制する可能性もある。また、こうした効果の大きさや性質は、業種や企業規模によって異なる。

◼️ R&D支援政策は、より体系的なアプローチへと進化しつつある。
▽政策手段の設計は、個別のR&D主体を対象とするのではなく、複数のアクター間に新たな連携や強固な関係性を構築することに主眼を移しつつあり、協働的かつ多主体による「地域志向型(placed-based)」アプローチを促している。
▽この地域志向型政策により、民間セクターによるR&D投資や地域イノベーション・エコシステムの構築に向けて、より統合的かつ調整された支援の実践的な試行が可能になる。

[DW編集局]