[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2025/04/30
抄訳記事公開日:
2025/06/02

欧州委、Horizon Europe中間評価を公表:1ユーロの投資で最大11ユーロの経済効果

For every euro invested Horizon Europe generates up to €11 in economic gains

本文:

(2025年4月30日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり)

2021年から2027年にかけて実施されるEUの旗艦研究・イノベーション・プログラムであるHorizon Europeは、経済的・社会的利益の大きな推進力となりつつあることが、次第に明らかになっている。本プログラムは、EU社会にかかるコスト1ユーロあたり、2045年までにEU市民に最大6ユーロの便益をもたらすと見込まれている。さらに、欧州委員会が本日発表した評価によれば、経済成長への貢献としては、EUの拠出金1ユーロごとに2045年までに最大11ユーロのGDP増加が見込まれている。

総予算935億ユーロを誇るHorizon Europeは、欧州の競争力およびイノベーション力の中核を担っており、今回の評価では以下の結論を示している。

・インパクト
2025年1月の中間時点で、本プログラムは15,000件を超えるプロジェクトに資金を提供し、その総予算は430億ユーロに上る。欧州各都市における燃料電池電気バスの導入、新たな抗生物質の開発、科学コミュニティが利用可能な人工知能(AI)技術の推進などのイニシアチブは、Horizon Europeの具体的インパクトを浮き彫りにしている。

・科学的卓越性
欧州研究会議(ERC)が資金提供したプロジェクトの80%が、科学上のブレークスルーや重大な進展に結びついている。1984年の発足以来、EUの研究・イノベーション・プログラムは、ノーベル賞受賞者35名の活動を支援してきた。

・イノベーション
欧州イノベーション会議(EIC)基金を通じて革新的企業に投資された1ユーロにつき、民間投資家から3ユーロ以上の資金を呼び込んでいる。Horizon Europeの下で新設されたEICが、スタートアップ企業やスケールアップ企業への支援を飛躍的に変革する存在として高く評価されている。

・参加拡大
EU加盟国間に存在する研究・イノベーション能力の格差解消を目指す取り組みは、確かな成果を上げている。研究・イノベーションの実績が比較的低い「参加拡大」対象国が参加する共同プロジェクトの割合は、58%にまで上昇した。

・手続きの簡素化
プロジェクト全体をカバーする固定額を交付する一括助成金(Lump sum grants)の導入により、受益者の管理コストはプロジェクト期間中に14%〜30%削減されると見込まれている。これにより、これまでに締結された一括助成金プロジェクト全体で、最大6,300万ユーロの経費削減が実現すると見込まれている。これらの助成金では財務報告の義務を免除するため、中小企業や新規参入企業にとって特に魅力的である。

[DW編集局]