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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ヘルムホルツ・センター・ベルリン(HZB)
- 元記事公開日:
- 2025/05/07
- 抄訳記事公開日:
- 2025/06/05
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ベルリン・バッテリー・ラボ設立によりBAM・HZB・HUベルリンが次世代電池技術の研究と産業応用を加速
Energiespeicher: BAM, HZB und HU Berlin planen gemeinsames Berlin Battery Lab
- 本文:
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(2025年5月7日付、ヘルムホルツ・センター・ベルリン(HZB)の標記発表の概要は以下のとおり)
連邦材料試験研究所(BAM)、ヘルムホルツ・センター・ベルリン(HZB)、およびベルリン・フンボルト大学(HU Berlin) の三機関は、持続可能な次世代電池技術の研究推進と産業応用を目的として、新たな研究施設「ベルリン・バッテリー・ラボ(BBL)」の設立に関する覚書(MOU)に署名した。BBLは、三者の専門知を結集し、画期的な研究開発プロジェクトを展開する場となる。産業界に対しても開かれた研究インフラを提供する。
ベルリンは、ナトリウムイオン電池およびリチウム硫黄電池の研究における重要な拠点としての地位を確立している。BAMは、電池の安全性および電気化学的エネルギー材料に関して、国際的に認められた専門性を有する。HU Berlinは、ナトリウムイオン電池に関する研究で国内をリードしており、HZBは特にリチウム硫黄電池の研究において活発な活動を展開している。
BBLの中心的な目標は、材料開発の成果を迅速に市場性のある製品へとつなげることにある。基礎研究の領域では、HZBが運営する大規模研究機関BESSYⅡとの連携のもと、材料開発が進められる。また、BBLでは実証セルの製造も行い、安全性試験および応用試験と研究活動を結びつける機能を担う。基礎研究から応用研究、そして認証に至るまでの協力により、研究から産業応用への移行が一層迅速になる。
とりわけ、世界的に保護主義的傾向が強まる中で、持続可能な原材料の安定供給と、それに基づく危機時における電池の安定生産は、極めて重要な意味をもつ。
BBLは、ドイツ国内はもとより欧州全域の産業パートナーに開かれており、地域で製造される持続可能な電池の研究開発および生産の促進に寄与する。すでに築かれているBASFとの協力関係も、さらに拡充される予定である。
BAMのパンネ会長(Prof. Ulrich Panne)は、「BBL設立により、三機関の専門知を結集した独自の研究基盤が構築され、持続可能な電池技術の早期実用化を通じてエネルギー転換に大きな貢献を果たせる」、HU Berlinのシュナイダー副学長(Prof. Christoph Schneider)は、「BBLを通じて、卓越した基礎研究と市場に通用する革新的技術との橋渡しができる」、HZBのレッヒ科学担当理事(Prof. Bernd Rech)は、「HZBでは、BAMおよびHU Berlinと長年にわたり電池研究で協力してきたが、これを今後一層強化する。BESSYⅡによるX線光源を用いれば、電池が実際に動作している最中(充電中、放電中)の内部の状態を直接観測できるため、電池の容量低下を引き起こす物理的・化学的な仕組みを詳しく把握できる」と、それぞれ語っている。
BBLの創設は、ベルリンにおける電池研究の卓越性を一段と高めるとともに、持続可能なエネルギーソリューションの確立に向けた重要な一歩である。三機関の協力は、同分野におけるベルリンの国際的なプレゼンスの強化に貢献するだけでなく、関連産業分野における高度人材の育成にも寄与する。
[DW編集局]