[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2025/04/30
抄訳記事公開日:
2025/06/06

2023年フランス企業の研究開発支出、物価調整後で0.9%減、人材は堅調に増加

Les dépenses de R&D des entreprises en 2023

本文:

(2025年4月30日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は、以下のとおり)

MESRは4月30日、フランスに拠点を置く企業の2023年における研究開発(R&D)支出(DIRDE)が、実質ベースで前年比0.9%減少したと発表した。一方、R&D活動に従事する人員は、フルタイム換算(FTE)で2022年比2.6%増の31万1,100人に達し、増加基調を維持している。

MESRが同日に公表した統計資料「Note flash du SIES(2025年第5号)」によれば、2023年のDIRDE総額は407億ユーロにのぼる。金額ベースでは17億ユーロの増額となったが、物価上昇の影響を考慮した実質値では、2022年(+3.5%)および2021年(+3.8%)と続いた増加傾向から一転し、前年比0.9%の減少となった。企業による研究努力を示す指標であるDIRDEのGDP比率は1.44%で、2013年以降ほぼ横ばいで推移している。

産業別に見ると、全体の27%を占める主要3製造業(自動車、航空・宇宙、製薬)におけるDIRDEは前年比2.7%減となった。中でも自動車産業は、2022年に前年比3.5%増加したが、2023年は3%減へと転じた。航空・宇宙分野も2022年の前年比6.9%増に対し、2023年は0.6%の小幅減少を記録した。製薬産業では、2022年の7.6%増から一転し、前年比13.3%の大幅減となった。

これに対し、サービス産業部門におけるDIRDEは堅調で、2023年は前年比3.5%増の122億ユーロに達した。特に、情報関連サービスと出版・メディア・放送分野において、それぞれ前年比8.6%および7.0%の顕著なDIRDEの増加が見られた。一方、通信産業およびその他のサービス業では、それぞれ前年比7.2%および5.0%のDIRDEの減少が引き続き見られた。

R&D人材については、2023年に31万1,100人(FTE)となり、前年比2.6%の増加を記録し、2022年の0.3%増に比して、顕著な伸びを示した。特筆すべきは、研究者および技術者(博士課程在籍者を含む)の増加であり、2023年には前年比4.4%増(2022年は2.8%増)となった。この層は全体の71%に相当し、その人数は22万1,100人にのぼる。

地域別では、イル=ド=フランス(首都圏)、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプおよびオクシタニーの3地域圏が引き続きDIRDEの中核を担い、全DIRDEの68%を占めるとともに、R&D人員の65%、研究者・技術者の69%を擁している。中でもイル・ド・フランスは、DIRDE総額の41%に相当する168億ユーロを支出し、全体の38%にあたる11万9,500人を雇用している。さらにイル=ド=フランスとオクシタニーにおいては、研究者・技術者がR&D人員に占める割合がいずれも78%と、全国平均を大きく上回っている。

[DW編集局]