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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ヘルムホルツ協会(HGF)の持続可能性研究所(RIFS)
- 元記事公開日:
- 2025/05/08
- 抄訳記事公開日:
- 2025/06/09
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欧州の安全保障と気候政策の統合 「1.5℃ライフスタイル」が示す持続可能な変革への道
Europa sichern heißt Klima schützen – Neuer Policy Brief stellt Weichen für 1,5°-Lebensstile
- 本文:
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(2024年5月8日付、ヘルムホルツ協会(HGF)の持続可能性研究所(RIFS)の標記発表の概要は以下のとおり)
欧州連合(EU)の研究プロジェクト「1.5℃ライフスタイル」の一環として作成された政策提言報告書「1.5℃ライフスタイルの実現:気候政策による持続可能な安全保障」が、RIFSにより本日公表された。報告書は、地政学的緊張と気候危機の深刻化に鑑み、気候政策を欧州の安全保障戦略の中核に据えるべきであると訴えている。
調査結果よれば、ヨーロッパ市民は、政治的な枠組みが公正で信頼性が高く、かつ野心的である限り、生活様式における抜本的な変革を受け入れる意欲があるとされる。
RIFSの科学ディレクターであるフックス(Prof. Doris Fuchs)教授は、次のように述べている:
「経済的および軍事的安全保障は重要な要素であるが、現実的な安全保障の概念には、気候レジリエンス、社会正義、そして地球の限界内での生活が含まれる。」◇社会的支持と政治的慎重さの交錯
報告書は、気候に悪影響を与える消費を規制し、責任を公正に分担し、持続可能な代替案をより魅力的かつ実行可能なものとする明確な制度的枠組みの整備を求めている。また、気候にやさしい選択肢が、より便利で経済的に優れた選択肢となるよう促進する必要があると指摘する。◇ドイツにおける進展と抵抗
持続可能なライフスタイルを後押しし、持続不可能な慣行を体系的に削減する政治的手段が必要である。◇6つの主要な政策提言
報告書は、調査結果に基づき、以下の6項目にわたる具体的な政策提言を提示している。
1) ライフスタイルを気候政策に統合する
国家および欧州の気候戦略は、技術的解決策にとどまらず、気候に有害な消費パターンそのものに直接対処すべきである。
2)持続可能性を新たな社会基準とする
政府は、手頃な公共交通、エネルギー効率の高い住宅、健康的な食料供給体制といった公共インフラに大規模投資を行うべきである。
3)正義を政策設計の基本原理とする
あらゆる規制は、社会的公平性を確保し、市民の参画を可能とするものでなければならない。
4)政治的な一貫性を確保する
中途半端なメッセージや曖昧な立法措置は、国民の信頼を損ねるリスクがある。
5)ウエルビーイング(幸福)の再定義
進歩の指標は国内総生産(GDP)ではなく、健康、正義、社会的約束に基づいて測られるべきである。
6)民主的参加の強化
市民は変革の形成に関わりたいと考えており、透明性が高く包摂的なプロセスこそが、広範な社会的支持を得る鍵となる。◇最終年度に向けて
プロジェクト最終年度に入り、各国のステークホルダーと協働して、状況に即した具体的な政策提言の策定と、持続可能な移行を支援するための実践的なツールの提供に注力している。 [DW編集局]