[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2025/05/15
抄訳記事公開日:
2025/06/11

Choose Europe for Scienceパイロットスキームに関するQ&Aを公表

Questions and Answers on the 'Choose Europe for Science' pilot scheme

本文:

(2025年5月15日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり)

欧州委員会が公表した「Choose Europe for Science」パイロットスキームに関するQ&Aの内容を、以下に要約・整理して紹介する。

マリー・スクウォドフスカ・キュリー・アクション(MSCA)の他のプログラムと同様に、「Choose Europe for Science」パイロットスキームは完全なボトムアップ方式で実施される。あらかじめ定められたテーマや分野はなく、応募者は自身の学術的または研究上の戦略に即したプログラムを自由に提案できる。これにより、自らの専門領域を発展・強化することが可能となる。将来的には、このパイロットスキームの成果に応じて、欧州委員会が特定の重点テーマを提示する可能性がある。

この取り組みの斬新な点は、参加機関に受益者への長期的な雇用の見通しの提供を求めている点にある。目的は、研究者のキャリアの不安定さを是正し、欧州における研究職の魅力を高めることである。最終的な目標は、欧州を世界の研究者にとって最も魅力的な目的地にすることである。

「Choose Europe for Science」は、各機関がポスドクレベルのプログラムを設立するための資金を提供する。各プログラムは最低3人の研究者を採用する必要がある。このパイロットスキームの公募では、EUおよびHorizon Europe準参加国のR&I分野の組織を対象としており、個人研究者に直接資金を提供するものではない。

このスキームを通じて共同出資を受けるプログラムは、世界中の研究者を対象に開かれている。ただし、MSCAのモビリティルールにより、研究者は申請直前の36か月間に、受入機関の所在国に12か月を超えて居住または主たる活動(仕事、研究等)を行っていないことが要件となる。

「Choose Europe for Science」パイロットスキームにより資金支援を受けるプログラムは、2段階で構成される。第1段階は24か月または36か月続き、採用された研究者の最低月額報酬総額6,700ユーロに相当する資金をEUが提供する。第2段階の24か月間は、受入機関が全額負担し、報酬水準は国内または地域レベルで競争力のある水準に設定される。この2つの段階を通じて、採用された研究者にはプロジェクト期間を超えた長期的なキャリアの見通しが与えられることが期待される。

プロジェクト終了後におけるキャリアの見通しは、主任研究者、講師、研究マネージャーから、高度に専門化された技術者に至るまで多岐にわたる。不安定な雇用や標準的な条件ではない契約が課題となっている研究・学術界において、多様な職責を担う人材を対象としたプログラム提案が歓迎される。このスキームの目的は、制度を広く開かれたものとし、機関や地域の研究・イノベーション・エコシステムが抱える多様なニーズだけでなく、研究者自身の多様なニーズにも応えることである。このアプローチは、研究評価の改革に関する合意(Agreement on Reforming Research Assessment)とも一致している。

[DW編集局]