（2025年5月15日付、欧州委員会（EC）の標記発表の概要は以下のとおり）

マリー・スクウォドフスカ・キュリー・アクション（MSCA）により、総額12億5,000万ユーロを超える2025年の新規公募が開始される。この資金は最先端の研究を支援しつつ、若手研究者および避難を余儀なくされたウクライナの科学者に対する重点的支援を通じて、研究人材の育成、国際連携の促進、そして科学と社会の橋渡しに注力する。

■ 研究キャリアとグローバルな連携への投資

欧州委員会は、2025年後半に開始予定の新規ファンディング公募を2つ発表した。

・MSCA博士課程ネットワーク（5億9,780万ユーロ、募集期間：5月28日～11月25日）
学術界のみならず、産業界、企業、公的機関など多様なセクターにおいて博士課程の候補者を募集・育成する。この制度には、「共同博士課程ネットワーク（Joint Doctorates Networks）」および「産業博士課程ネットワーク(Industrial Doctorates Networks)」も含まれる。
・MSCA & Citizens（1,630万ユーロ、募集期間：6月17日～10月22日）
「欧州研究者の夜（European Researchers’ Night）」や「学校における研究者の活動（Researchers at Schools activities）」といったイベントを通じて、科学を市民により身近なものとし、研究が日常生活に与える影響を広く紹介する。

MSCAは、MSCA4Ukraineフェローシップ制度を通じて、ウクライナからの避難した研究者を支援するため、追加で1,000万ユーロを拠出する予定である。

■ 欧州全域における研究人材支援

上記の公募は、今年すでに開始されている下記3件の公募を補完するものである。

・MSCA COFUND（1億560万ユーロ、公募締切：6月24日）
各機関が自らの博士課程研修プログラムやポスドク研究員プログラムを創設・強化することを支援し、優秀な研究者の採用と育成を図る。

・MSCAスタッフ交流（9,770万ユーロ、公募締切：10月8日）
R&Iに関する共同プロジェクトに資金を提供し、イノベーションのあらゆる段階において、国際的・部門横断的・学際的な人材交流と知識共有を促進する。

・MSCAポスドク・フェローシップ（4億430万ユーロ、公募締切：9月10日）
経験豊富な研究者が国外での研究活動を通じて、新たなスキルを習得し、国際的・学際的・セクター横断的な経験を積みながらキャリアを発展させることを支援する。

■ 「Choose Europe for Science」により、長期的展望を有する研究者を支援

2025年に2,250万ユーロの予算で実施される「Choose Europe for Science」のパイロットプログラムは、従来の研究プロジェクト単位を超えてポスドクプログラムを支援することにより、欧州における研究キャリアの強化を目指す。パイロットプログラムでは、各機関は最長36か月にわたりMSCAから資金提供を受け、その後2年間は当該機関の資金によって研究者を引き続き支援する。その目的は、若手研究者に対し、より安定したキャリアパスを提供するとともに、雇用の不安定さを軽減し、研究者の役割を各機関の長期戦略と整合させることである。公募開始は2025年10月1日を予定している。

[DW編集局]