[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
ロレーヌ大学
元記事公開日:
2025/05/22
抄訳記事公開日:
2025/06/16

AIクラスター「ENACT」正式始動 東部ロレーヌ大学など

Le programme Cluster IA ENACT officiellement lancé : pour une souveraineté européenne en intelligence artificielle

本文:

 政府が全国9か所で構築を進める「AIクラスター」の1か所、「ENACT」(東部グラン=テスト地域圏)の活動が正式にスタートした。

 「AIクラスター」は、政府が人工知能(AI)の分野・領域で研究人材を国内外から引きつけ、卓越した研究開発拠点を作ろうとするプログラムで、重点投融資計画「フランス2030」の一環で推進。全9か所のうち4か所は首都圏(イル=ド=フランス地域圏)にあるが、残りは地方都市にあり、「ENACT」はグラン=テスト地域圏唯一の拠点である。

 「ENACT」に、政府は3,000万ユーロを補助。▽将来必要となる人材育成、▽領域横断的な研究イノベーションのエコシステム形成、▽AI領域での欧州の技術主権確立――を目的とし、同地域圏のロレーヌ大学が主導して拠点が構築されている。そのほかにストラスブール大学、国立科学研究センター(CNRS)、国立情報科学・自動化研究所(INRIA)、国立保健医学研究所(INSERM)、ナンシーとストラスブールの2か所の大学病院拠点(CHU)、グラン=テスト地域圏などの地元自治体、民間企業約50社が参加して官民合同のコンソーシアムを構成し、単に一拠点としての機能ではなく、地域圏全体の活力を引き出すことに目的がある。

 同地域圏のフランク・ルロア知事は「ロレーヌ、ストラスブールの両大学が、グラン=テストをAI分野における欧州のリーダーにしようと、国研とも協力して動いてくれているが、『ENACT』はまさにその成果だ」と語った。

 「ENACT」は「教育」「研究」「イノベーション」を3本柱とし、2029年までにAI分野で5,000人の学生を教育。毎年150人の博士課程学生を支援するとともに、スタートアップを50社作り出すことなどを主な目標としている。特に実用的な教育を重視し、参加するロレーヌ、ストラスブールの両大学共通の講座を設けて初期段階でも継続段階にも対応させ、さらに英語の講座を開設して国際的にも門戸を開く。

[DW編集局]