（2025年5月16日付、欧州イノベーション・技術機構（EIT）の標記発表の概要は以下のとおり）

欧州イノベーション・技術機構（EIT）は、欧州のスタートアップおよびスケールアップ企業の成長を加速するために、制度・支援基盤の抜本的改革を求める提言を発表した。

EITは、EU全域にわたる活力と包摂性に富んだイノベーション・エコシステムの構築に取り組んでいる。これまで10年に及ぶ起業支援とイノベーション推進の実績を基礎に、欧州のスタートアップが本来持つ潜在能力を引き出すため、野心的な制度改革の必要性を強く訴えている。

本提言は、より強靭かつ競争力ある欧州を実現するための「EUスタートアップ・スケールアップ戦略」への貢献として示されたものであり、早急に対処すべき構造的課題と戦略的対応策を明示している。

EITは、特に創業初期や周縁地域における資本アクセスの断片化、複雑な規制制度と官僚的障壁、市場や産業界との接点の希薄さといった、成長阻害要因を明確に指摘している。また、ディープテックとアントレプレナーシップの分野におけるスキル不足、投資・経営におけるジェンダー格差、知的財産権（IP）の保護・商業化支援の不十分さ、さらには欧州域内で重複と非効率を伴う支援構造の断片化も、持続可能なイノベーションの障壁となっている。

これらの課題に対処するために、EITは以下の行動を提案している：

・初期段階のスタートアップへの資金供給体制の強化
・規制の合理化と実証環境の整備
・市場アクセスの向上と産業連携の促進
・教育・研修によるスキルギャップの解消と人材不足への対処
・スタートアップ投資におけるジェンダーギャップの是正
・知的財産支援システムの構築
・研究・イノベーション・投資プログラムを統合するEU横断的な支援枠組みの構築

EITは、こうした包括的改革を通じて、欧州が真に世界をリードするイノベーション基盤を確立することを目指している。

[DW編集局]